スポーツ

2017.03.15

あくまで自然体で キレ味を増したJ2大分MF松本怜の小さな変化

「今季は黒子に徹する」と断言していた男が、開幕戦を終え「目立っちゃいましたね。ハードルが上がりそうで怖い」と笑顔を見せた。

2月26日。アビスパ福岡との開幕戦で、大分トリニータの今季初ゴールは松本怜の右足から生まれた。「相手がスライディングにきていたので枠内に飛ばすことだけを考えていた。どこのコースに飛んだか分からなかったが振り抜いた」シュートはゴール左下に吸い込まれた。チーム全体に開幕特有の緊張感が漂っていたが、松本のゴールで地に足がついたのは確かだった。

目を見張るのはキレキレのフィジカルだ。先々週からコンディションが上がり、持ち味のスピードにキレが加わり、常に1対1の時に主導権を握るパフォーマンスを見せていた。そして開幕戦では「自由にプレーできた」と広大なスペースが広がる左サイドで上下動を繰り返した。攻撃時には鋭く縦に突破しチャンスを作り、守備においては全力で最終ラインまで下がりスペースを埋め、相手の攻撃を遅らせた。

今季はサイドの選手が増え、ポジション争いし烈になったが。それでも松本は臆することはなかった。
「ウイングバックは(4バックの)サイドハーフやサイドバックに比べ自分らしさが出せる。役割は分かりやすいので楽しんでやれる。だから今は充実感がある」

三平和司、後藤優介、林容平で構成される前線の3人が連動し、矢じりのように一体となって敵のゴールに襲いかかる。その過程のなかで持ち味のスピードに乗ったドリブルを織り交ぜて、松本は自分を活かしつつも、周囲を活かそうと試みてきた。すると開幕戦では、狙いとする崩しからではなかったが、セットプレーのクリアボールを拾って押し込む形で1得点をマークした。

昨年まではゴール、アシストという結果を欲するあまり周りが見えなくなったが、今季はそのあたりの心持ちに変化が見られる。
「今年はチームの勝利にどれだけ貢献できるかにこだわりたい。勝つために一体自分には何ができるのか。自分だけにしかできないことがあると常に考えている。もちろん最後のフィニッシュの精度を上げるのは課題だけれど、前線の3人としっかり連動していけば、自然と自分にも結果がついてくると思う」

肩の力をスッと抜き、それでも力強さが増した。それは小さいようで、とても大きな変化かもしれない。「練習後の自主トレなど無理をしなくなった。コンディションを落とさなければシーズン通して活躍できる自信はある」。優しく微笑むその様子は、あくまでも自然体を保っていた。

【柚野真也】ゆの しんや。1974年、大分県大分市生まれ。大学卒業後、専門紙の記者として活動。その後、フリーランスのライターとして活動を開始。JリーグからFリーグ、バスケットボールのbjリーグなど、九州のスポーツシーンを数多く取材。「週刊サッカーダイジェスト」、「J2マガジン」「九州Jパーク」などサッカー専門媒体や、朝日新聞大分頁で毎週土曜にスポーツコラムなど執筆している。

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