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ロック好きはニヤリとするネタ満載!?クドカンのロック愛あふれる『TOO YOUNG TO DIE!』|dメニュー映画×コラミィ

    宮藤官九郎監督
    宮藤官九郎監督

    文=紀平照幸/Avanti Press

    クドカンこと宮藤官九郎の4本目の監督作品『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は、なんと“地獄でロック”という奇想天外なコメディー。バンド「グループ魂」のメンバーでもある宮藤監督らしく、本作にはさまざまな形でロック愛が感じられます。

    修学旅行中の不慮の事故で17歳にして死亡してしまった高校生・大助(神木隆之介)が目覚めると、そこはまさかの地獄だった! なんで俺だけ? 大して悪いこともしていないし、まだ憧れのクラスメート、ひろ美ちゃん(森川葵)とキスもしていないのに!? このまま死ぬには若すぎる……と慌てる大助の前に現れたのは、地獄でロックバンド「地獄図(ヘルズ)」を率いる赤鬼のキラーK(長瀬智也)。彼によれば、ロックバトルに勝利すると、えんま様の裁きにより人間として現世に転生するチャンスがあるという。そこで大助はキラーKの猛特訓のもと、ロック魂を注入されていくのですが……。

    宮藤監督によると、もともとは長瀬主演でロック映画をやりたいというところから企画がスタートしたといいます。イメージしていたのはジャック・ブラック主演の『スクール・オブ・ロック』や『テネイシャスD 運命のピックをさがせ!』のようなロック・コメディー。そこにキッスやAC/DCのイメージが加わり(確かに彼らの曲やアルバムの日本語タイトルには、やたらと「地獄」という言葉が目につきます)、現在の形になったそうです。

    役名に込められたロック愛

    『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
    左からCOZY、邪子、大助
    『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』

    監督自ら作詞した主題歌「TOO YOUNG TO DIE!」の歌詞には「ジミヘン、カート・コバーン、マイケル・ジャクソン、忌野清志郎」とジャンルを超越したミュージシャンの名前が並びます。キャラクター名でも、桐谷健太が演じるドラマーの名前はコージー・パウエルにちなんだCOZYですし、清野菜名演じるベースの邪子はジャコ・パストリアスから。共通点はすべて故人であることですが、「TOO YOUNG TO DIE!」の歌詞にもある「カッコ良すぎて地獄に落ちた」というのがコンセプト。ロックはカッコ良ければそれでいい、ジャンルにこだわる必要などないんだ、ということですね。まあ、そんな監督からの「デスメタルっぽいけど、サビはメジャーでキャッチーな曲を」という無茶な注文に応えた作曲担当のKYONOの貢献度が大なのですが……(笑)。

    クドカンのロック愛に共鳴したアーティストが参加!

    そしてこの映画には多彩なミュージシャンもゲスト出演。地獄でギターバトルを繰り広げるのがCharや野村義男、マーティ・フリードマンにROLLYといった有名ギタリストたち。「地獄図」と敵対するガールズバンドのメンバーにもシシド・カフカや清がいます。さらにハードロックやヘヴィメタルに縛られず、唄うたいの子鬼役では憂歌団の木村充揮まで登場。これもまた幅広いロックを愛する宮藤監督にシャレのわかるアーティストたちが共鳴した結果だと思います(もし忌野清志郎が存命だったら、喜んで出演していたはず)。

    ありえない設定のコメディーなので、ただのおふざけ映画だと思われる方もいるかもしれませんが、自分のことしか見えてない残念な高校生だった大助の恋と成長、人間時代のキラーKをめぐる切ない話、キラーKと大助の師弟関係や絆、かつての同級生との友情など、意外にしんみりと共感できる部分もあります。ゴキゲンな曲が満載なのでロック・ファンにおススメなのはもちろんですが、音楽を抜きにしても楽しい映画なのです。

    『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』

    『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
    6月25日(土)全国ロードショー
    配給:東宝=アスミック・エース
    © 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

    この記事で紹介している作品

    『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
    『スクール・オブ・ロック』
    『テネイシャスD 運命のピックをさがせ!』