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ヒーローから悪役、マッチョまで? ハリウッドがついに“女子主役”の時代に!|dメニュー映画×コラミィ

    文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

    ジェニファー・ローレンス
    『X-MEN: アポカリプス』(日本公開8月11日)のロンドン・プレミアに出席したジェニファー・ローレンス(左)とジェームズ・マカボイ(右)
    ©Landmark Media/Newscom/Zeta Image

    ここ数年のハリウッドでは、女性主役のスタジオ作品の少なさ、男優と女優のギャラ格差などが声高に叫ばれてきた。メリル・ストリープやパトリシア・アークウェットらベテラン女優が受賞スピーチで問題提起し、ケイト・ブランシェットやリース・ウィザースプーンらが自ら女性主役作品の製作や企画に乗り出し、若手ナンバー1の売れっ子女優、ジェニファー・ローレンスは自筆エッセイを通じて、不屈宣言を発している。

    こうした動きが、ついに実を結び始めたのか? ここ数カ月で、ヒーローから悪役、マッチョ、アンサンブル(複数キャラクターが主役であること) にいたるまで、女性が主役のスタジオ作品や注目テレビシリーズの企画が相次いで発表(または情報更新)されている。

    『ゴーストバスターズ』
    『ゴーストバスターズ』
    2016年8月19日(金) 全国ロードショー
    配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
    www.ghostbusters.jp

    男性陣アンサンブルによる人気映画の女子版としては、今夏『ゴーストバスターズ』が公開となり、ともに女子版の『エクスペンダブル』『オーシャンズ11』が進行中だ。特に後者は、ジョージ・クルーニーが演じた主役にサンドラ・ブロックが決定しているほか、ローレンスやブランシェットも出演交渉中だといわれており、実現すれば、ブラッド・ピットもマット・デイモンも真っ青の(?)豪華アンサンブルとなりそうだ。

    アメコミ発スーパーヒロイン映画も続々

    スーパーヒーロー映画で知られるマーベルやDCコミックスも、スーパーヒロイン映画の企画を発表。マーベル初の女性ヒーロー映画『キャプテン・マーベル』には、今年のオスカー主演女優となったブリー・ラーソン(『ルーム』)が主演交渉中、同じくマーベルの『アベンジャーズ』シリーズからは、スカーレット・ヨハンソン扮するブラック・ウィドウを主演に据えた映画の話もあるようだ。DCコミックスからは、悪役映画『スーサイド・スクワット』で注目されたマーゴット・ロビー主演で、その他の女性キャラもフィーチャーしたスピンオフ映画の話が持ち上がっている。

    女性版ボンドの誕生も!?

    こうしたなか、『007』シリーズ・ファンの間では、女性版ジェームズ・ボンドの誕生までも囁かれている。現ボンド役のダニエル・クレイグが降板する可能性が高いことから、イドリス・エルバやトム・ヒドルストン、ダミアン・ルイスら俳優が候補として報じられているが、「X‐ファイル」で知られる女優ジリアン・アンダーソンが、“ジェーン・ボンド”というキャプション付きの『007』風ポスターをソーシャルメディアにアップしたり、「ゲーム・オブ・スローンズ」の女優エミリア・クラークが、「ボンド役を演じることが夢だ」と語り、“ボンド・ボーイ”にレオナルド・ディカプリオを推すなど、ちょっとした盛り上がりを見せている。

    さらに、今をときめくオンライン配信大手Netflixの大人気シリーズで、女子刑務所を舞台とした「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のクリエイターが、今度は80年代の女子プロレスを題材とした新シリーズに着手することも明らかに。これらの企画が一気に形になると、もう右を見ても左を見ても、女子女子女子……の様相となりそうなのだが、こうしたキャラクターに対する人々の意識が、今までとは少し違っているような気もする。これまでのスタジオ大作の女性主役というと、女性観客の獲得対策、男性ファンを魅了するセクシー・キャラというイメージが強かったが、いまや、強く、賢く、優しく、ユーモアのあるヒーローであれば、性別は関係ないという風潮があるからだ。真の多様性に向けて、アクセルを踏み込んだかのようなハリウッド。この先が楽しみである。

    『X-MEN: アポカリプス』
    2016年8月11日(木・祝) 全国ロードショー

    『ゴーストバスターズ』
    2016年8月19日(金) 全国ロードショー