【画像】「こち亀」最終200巻特装版
映画にもなった人気長寿漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、集英社『週刊少年ジャンプ』42号で約40年の歴史に終止符を打ちました。“両さん”の愛称で親しまれた主人公両津勘吉のキャラクターが愛された作品でしたが、下町生まれで義理人情に厚い面とは裏腹に、警察官でありながら滅茶苦茶な言動は漫画とはいえ読者に衝撃を与え続けました。そんな両さんの暴走エピソードを振り返ってみましょう。
なにかあるとすぐ拳銃をぶっぱなす
“泣ける”“いい話”と人気の下町人情話の回と、両さんのハチャメチャっぷりが炸裂する回のギャップが激しいことでも知られる「こち亀」。しかし元々は両さんの破天荒警官ぶりを全面に打ち出した作品でした。なにせ、第1話から、昼ご飯の天丼を野良猫に盗み食いされ、怒りのあまり拳銃を発砲する始末。まあ、同じ回で同僚の中川もアメリカから取り寄せた自慢の拳銃の話をするうちに興奮して通行中の車に発砲してるんですけどね……。
いろんなものを破壊することでも有名です。ある時、大金持ちの中川が所有する豪華客船に乗せてもらった両さん。豪華すぎる船内を回るうちに、操縦室に潜入すると、船長を締め出しいたずらで操縦を始めます。そして一度やってみたかったという巨大客船での隅田川下りをしようと遡上を開始。勝鬨橋が架かっているのもお構いなくそのまま破壊して進む暴挙に出るのです。なお、同じ巻の次の回では、水とガソリンを間違えて葛飾署を爆破しています。
犯罪スレスレ…じゃねえ、犯罪だろそれ
借金まみれで常にお金に困っている両さん。ギャンブルに副業、詐欺まがいとお金のためなら手段を問いませんが、あろうことか部長や中川、同僚の麗子に小型の隠しカメラを仕込み盗撮を敢行します。部長の弱みを握り、中川をトイレで録画し、麗子の更衣室の姿を盗撮したうえで、それをネタに金をせびる。なんとも卑劣です……。そのほか、麗子の電子手帳をハッキングして個人情報を盗み、またもそれをネタに金を借りるなんてことも。
両さんのボーナスは毎年、もらった瞬間に多くの借金取りに捕まりなくなってしまいます。万策尽きた両さんは、夜に署に忍び込み総務人事課のコンピュータを不正操作。自分のボーナスを4000万円に書き換えます。ついでに、かわいい婦警のボーナスは100万円アップし、部長を980円にするところが両さんらしい……。
40年たっても相変わらず無計画
お金がないのは連載40年間変わりません。最近のエピソードでも、預金残高が0円となった両さん。しかし、そんなのどこ吹く風と後輩の新人警察官から5千円を借りて当座をしのごうとしますが、大好きな馬の復帰戦だと知ると全額賭けてしまいます。見事的中させるも、「『運』が来ているときは攻めるんだよ!」とさらに次のレースに全額つぎこんだ結果、4000万円の勝利。それを元手に株取引を行い、なんとその日のうちに150億円に! その後、個人で信用金庫を開店し、犯罪ギリギリの手法で収益を上げていくと資産は300億円に到達します。でも、結局現金を輸送中にヘリが風にあおられ東京上空で300億円すべてをばらまいてしまう、といういつものパターンに落ち着くんですね。
こんなにも滅茶苦茶なのに、なぜか憎めないキャラクターというのも不思議ですよね。40年、200巻続くにはワケがあります。連載は終わっても、この先もずっと両さんは愛され続けるのでしょう。
(文/大木信景@HEW)