過激すぎる大人向けアニメ!“ソーセージ”“ホットドッグ”が意味するものは… |dメニュー映画×コラミィ

『ソーセージ・パーティー』
『ソーセージ・パーティー』

文=皆川ちか/Avanti Press

ソーセージが主人公のCGアニメ『ソーセージ・パーティー』がついに日本に上陸する!

おもちゃを主人公にした『トイ・ストーリー』(95)、車の世界を描いた『カーズ』(06)、ロボットの冒険と恋愛の物語『ウォーリー』(08)など、アニメーション、特にCGを駆使したCGアニメ映画には、人間や動物以外の無機物、つまり“もの”を擬人化させた名作や秀作、傑作が多い。『ソーセージ・パーティー』は、食べ物を擬人化することによって人間の本質を描くという、アニメならではの手法を活かしたこのジャンルの最終兵器的作品だ。

舞台は郊外のスーパーマーケット。登場人物たちは、なんと食材! しかも主人公はソーセージなのだ! その名もフランク。ブレンダという名前のパンの恋人までいて、店の外の世界、通称“楽園”で結ばれる日を、2人は夢見ている。しかし、彼らは知らなかった。店外へ出たら、食材である自分たちは喰われるという残酷な運命を……。

実は過激で挑発的な大人向け映画

あらすじだけを聞くと、ほんわかハートウォーミング アニメに思えなくもないけれど、実は本作は、R15+指定(15歳以上鑑賞OK)をばっちりと受けている、過激で挑発的な大人向け映画なのだ。

フランクとブレンダの外見は、あからさまなほど明らかに、アレとアレのメタファーであるし、彼らが合体と呼ぶ“ホットドッグ”が何を意味するのかは……言うに及ばず、ですね。その他にも、文化や宗教上の相容れなさから対立する、ラヴァッシュ(中東などで食されている薄焼きパン)とベーグルの複雑な関係性。性的に大らかなタコス。仲間と比べて自らの短さに悩む、やはりソーセージのバリー。夜な夜なパーティーに明け暮れる、スーパーマーケット内のリア充、酒類などなど。登場する食材たちの強烈な個性に加え、ラスボスがビデ(膣洗浄器)ときているのだから、観ていて頭がくらくらしてくる。

生みの親は米コメディ映画の重要人物セス・ローゲン

原案・脚本・製作、そして主人公フランクの声を担当している、つまりこの作品の生みの親は、セス・ローゲンという人物だ。DT(童貞)映画の金字塔的作品『40歳の童貞男』(05)で注目されたのを皮切りに、男同士のキャッキャウフフな友情映画の良作に多数たずさわり、監督・主演を務めた金正恩第1書記の暗殺を扱ったコメディ映画“The Interview”(14)では世界中で波紋を巻き起こすなど、現在のアメリカ映画界、コメディ部における最重要人物のひとりである。

ローゲンが得意とする、エログロ上等な笑いのセンスと、マイノリティや他者に対する公正な視点。宗教から社会問題など現実世界の事象を巧みに、かつ分かりやすく脚本内に組み込む知性。そして、大人になりきれない男が冒険を通して成熟していく姿という、古代の神話から現代のラノベまで古今東西さまざまな物語で繰り返し描かれてきた主題、イニシエーション(通過儀礼)。

これらの要素が、食材たちが人間に宣戦布告し、文字どおり“喰うか喰われるか”の闘いを繰り広げていくカオスな展開の中に、鮮やかに盛り込まれている。いや、擬人化されているからこそいっそうに、私たち人間を痛烈に風刺して、愚かしさも愛らしさも笑いで包み込んでいるのだ。

食欲の秋にふさわしい(?)本作は、ホットドッグを食べながら鑑賞したら臨場感も美味しさも、きっと倍増するだろう(フランクフルトもいいかも!)。

『ソーセージ・パーティー』
11月4日(金)ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:コンラッド・ヴァ―ノン(『マダガスカル3』『シュレック2』)、グレッグ・ティアナン(『劇場版きかんしゃトーマス』シリーズ)
声:セス・ローゲン(『カンフーパンダ』シリーズ)、クリステン・ウィグ(『ゴーストバスターズ』)、ジョナ・ヒル(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』)、エドワード・ノートン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)、サルマ・ハエック(『長ぐつをはいたネコ』)