ティファニーが世界屈指のジュエリーブランドになれた“秘密(わけ)” |dメニュー映画×コラミィ

文=松本典子/Avanti Press

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『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
(c)2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
(c)2016 Quixotic Endeavors

えーっ。ティファニーさん、そんなことして大丈夫? と、何とも勝手な心配をしてしまったのは初夏のことでした。ティファニー・ジャパンが全面協力したドラマ『せいせいするほど、愛してる』が制作されたと聞いたから。映画『ティファニーで朝食を』は、トルーマン・カポーティの原作とオードリー・ヘプバーン扮するホリー・ゴライトリーのおしゃれ風来坊っぷり、そして老舗宝石店の懐の深さが幸福に出会った作品。日本のTVドラマにそのレベルを求めてるんじゃなければいいけど、と。ええ、大きなお世話ですけれどね……(以下略)。

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2016年4月にNYで行われたTiffany & Co. Blue Book Galaに出席したジェニファー・ビール
(c)Anthony Behar/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

今秋、そのティファニーがドキュメンタリー映画『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』として登場。言わずと知れた世界屈指のジュエリーブランド、その歴史や舞台裏が関係者たちの証言とともに披露されています。誰もがそれだとピンと来ちゃうティファニーブルーは、コマドリの卵の色から取られ、パントン社ではティファニーの創業年に当たる1837番として登録されているなんていうエピソードも。白いリボンが掛かったティファニーボックスがいかにアメリカ人を魅了してきたかを示す数々の映画やドラマのシーン、女優のみならず歴代大統領を含むセレブリティが愛用あるいはプレゼントにした品々……。魅力的なエピソードに事欠かないのがラグジュアリーブランドの証、と言わんばかりにバラエティに富んだ内容がスピーディに展開していきます(集中して観ないと置いてかれるほど!)。

ティファニーの礎をつくった天才、
ふたりのジーンをおさえておきたい!

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厳格な基準を満たしたティファニーダイヤモンド
『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
(c)2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. (c)2016 Quixotic Endeavors

すでに有名な伝説もあれば、知らなかったストーリーも。そんな中、心に残ったのはティファニーに貢献したふたりのジーンについて。ひとりは、50年にわたって本店のウインドウディスプレイを担当して来たジーン・ムーア。とても革新性に富んだ天才だったようで、「ジーンだけが破損品を使ってティファニーのウインドウを飾れたの」との証言も。紐を切られたパールネックレスを主役にしたディスプレイはとても詩的で実物を見たかったなあ、と。ディスプレイを芸術に昇華させた男の仕事場には、アンディ・ウォーホルやロバート・ラウシェンバーグだなんて現代美術家たちが出入りしていたと言います。納得。

もうひとりは、ジュエリーデザイナーのジーン・シュランバーゼー。128カラットという巨大なイエローダイアモンドに鳥のモチーフを乗っけたユーモア溢れる「バード オン ア ロック」を始め、ティファニーの名作ハイジュエリーをいくつも手がけたこれまた天才です。ちなみに作中、その人気ゆえに何度となく口にされる彼の名前なのですが、みんな正しく発音できない……ファンなのに。何故でしょうね(笑)。

1845年に米国初のメールオーダーカタログを発行したのが他でもないティファニーだったという話には、高級ジュエラーでありながら片や若者にも入手しやすいチャームも取り扱うなど、ある種の親しみやすさの原点を見たような気がします。そういえば、ラグジュアリーブランドとしてはかなり早くからオンラインショップをスタートさせていたはず。王侯貴族が支えたヨーロッパのジュエラーとは少し異なる文化をティファニーは培って来たのだろうなと。

オードリーよりマリリンが適役だった!?
『ティファニーで朝食を』にまつわるエピソードも

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右からフランチェスカ・アムフィテアトロフ、ジェシカ・ビール
『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
(c)2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. (c)2016 Quixotic Endeavors

映画『ティファニーで朝食を』に関しては、原作とともに少なからぬ時間が割かれています。ティファニーと映画会社の“共犯関係”、原作者カポーティの映画化についての意向――オードリーの演じたホリー役を、友人であるマリリン・モンローに演じさせたかった!――なども。そもそも本作の原題は“CRAZY About TIFFANY’S”。ホリーの“I’m crazy about Tiffany’s”(「ティファニーに夢中なの」)というセリフから取られたようですし。

映画では、ホリーはティファニーを自由の象徴だと捉えて憧れ、そして癒されます。「ここでは悪いことなんて起こらないわ」とうっとり。一方、原作では、カポーティはその自由を資本主義社会とダブらせて……といった側面もうっすら感じさせます。資本主義の限界が取り沙汰される現在、そのあたりティファニー社はどう引き受けているのでしょうねぇ。せっかくですから、美しいジュエリーに酔いしれるばかりでなく、現実社会におけるティファニーひいてはラグジュアリーブランドの存在意義なんてものにも思いを巡らせながら観てみるのもよいのではないでしょうか。芸術の、そして思索の秋に。

『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
監督:マシュー・ミーレー 出演:バズ・ラーマン、レイチェル・ゾー、ジェシカ・ビール、ロブ・マーシャル、フランチェスカ・アムフィテアトロフほか
配給:ファインフィルムズ
11月5日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国ロードショー
配給:ファインフィルムズ
映画公式HP:http://www.finefilms.co.jp/tiffany/