昨季36ゴールを記録したFWイグアイン 写真は2015年11月30日(Getty Images)
ゴンサロ・イグアインのユヴェントスへの移籍が決定した。移籍金は9000万ユーロ(約103億8000万円)。ユーヴェのセリエA6連覇は、シーズン開幕を待たずして決定的とさえ映るかもしれない。実際、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』はすでにそう予言している。
■ユーヴェ6連覇は決定的?
昨季アンドレア・ピルロ、アルトゥーロ・ビダル、カルロス・テベスの主軸が抜けたユーヴェは、開幕3戦未勝利と近年稀な苦戦を強いられた。それでも、パウロ・ディバラのフィットともに上昇気流に乗ると、第25節でナポリとの頂上対決を制して首位に立ち、最後までその座を譲ることなく5連覇を達成。イタリアにおける絶対王者であることを、改めて印象付けた。
とはいえ、シーズン半ばまで続いたナポリとの一騎打ちは見ごたえがあった。「もしかして今季は…」そう思わせる南の雄の中心には、つねにイグアインがいた。ナポリのエースは最終的に36ゴールを叩き出し、セリエAの1シーズン最多得点記録を66年ぶりに塗り替えている。
その大エースを、ビアンコネーリが引き抜いた意味は大きい。補強になると同時に、相手の戦力を大幅に削ることができるからだ。ユーヴェはナポリに次いで優勝争いの対抗馬となり得るローマからも、ミラレム・ピャニッチを獲得した。ドイツでは、バイエルンがドルトムントを相手にこの“攻撃”を繰り返し、前人未到の4連覇を達成している。
ユーヴェはそれ以外にも高齢化が懸念されるDFラインにメディ・ベナティアを、サイドに経験豊富なダニエウ・アウヴェスを確保。マンチェスターU行きが決定的なポール・ポグバ、フアン・クアドラード(チェルシーへ復帰)の退団は痛手だが、国内を戦う上では死角のない陣容だ。圧倒的な強さで独走し春先には優勝、といった展開も十分に考えられる。
■ナポリの意地に期待
ただし、ナポリが指をくわえて見ているハズがない。イグアインの移籍を「裏切りに満ちている」と糾弾するアウレリオ・デ・ラウレンティス会長が、妥当ユーヴェに執念を燃やすことは、想像に難くない。すでにカルロス・バッカやマウロ・イカルディへの接触が報じられ、ファン・ペルシ加入も噂されている。100億円を超える資金があれば、複数のビッグネームを手にできる。
ナポリは2013年にもエディンソン・カバーニをパリSGに引き抜かれているが、そこで後釜に据えたのが他ならぬイグアインだった。現在のチームは当時以上に質の高いサッカーを展開し、着実に成長を遂げている。
イグアインの存在能力を余すことなく引き出したマウリツィオ・サッリ監督は、その穴をどのように埋めるのか。すでにチームの土台は高いレベルで出来上がっているだけに、肉付け次第ではユーヴェとタイトルを争うことは、不可能ではない。