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“ポグバマネー”でスタジアムが建つ? 移籍金の高騰はどこまで続くのか|コラミィ× スポーツ


    史上最高額の移籍金でマンUに加入したMFポグバ 写真は2016年8月8日(Getty Images)

     ポール・ポグバのマンチェスター・ユナイテッド移籍が、現地時間8月9日に決着を見た。移籍金は8900万ポンド(約118億4000万円:移籍発表日のレート)に、500万ユーロのインセンティブが上乗せされる形。ギャレス・ベイルの移籍金を超える、史上最高額だ。

     近年移籍金は高騰の一途をたどっている。数十億円を超える取引が日常茶飯事に行なわれる市場は、一般大衆の理解の範疇を超えている。8900万ポンドと言われても正直ピンとこないだろうが、これはユーヴェの本拠地「ユヴェントススタジアム」の総工費9000万ポンド(英『BBC』調べ)とほぼ同額。つまり、ユーヴェは4年前にタダ当然で手に入れた選手の売却により、スタジアム総工費のほぼ全額を賄えたということだ。

     サッカー界が巨大なビジネスの場となって久しい今、移籍金の高騰がすぐに止まるとは思えない。ビッグクラブが資金力に物を言わせて有力選手を獲得する流れは今後も続くだろう。プロスポーツである以上、資金はあってしかるべきで、そこを否定するのはアマチュアのすることだ。

     しかし、上昇し続ける移籍金に異を唱えるものがいることも事実だ。

     巨額のマネーで選手を買い漁る行為を「マネードーピング」と嫌悪するアルセーヌ・ヴェンゲル監督(アーセナル)は、ポグバの移籍金を「まったくもってクレイジー」と吐き捨てた。ユルゲン・クロップ監督(リヴァプール)も、無制限の補強資金があっても、1人の選手にこれだけの額は投じないと首を傾げている。

     「いずれ、歯止めがかかると思っていた。しかし、どうやら私が間違っていたようだ。数年後には、あるクラブが2億ポンドや3億ポンドを支払うのを目にするようになるだろう」。ヴェンゲル監督はサッカー界の未来を案じている。

     「選手1人に?」「そんなバカな」と思うかもしれない。しかし、2001年にジネディーヌ・ジダンがユーヴェからレアルに移籍したとき、6248万ポンドの移籍金レコードは、金輪際破られることはないとさえ言われてた。それが2009年にクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスターU→レアル,7990万ポンド)が塗り替えたのを皮切りに、その4年後にはギャレス・ベイル(トッテナム→レアル,8585万ポンド)がこれを更新。今夏はゴンサロ・イグアイン(ナポリ→ユーヴェ,7650万ポンド)と、ポグバがジダンの移籍金を上回った。「あり得ない」ケースが、直近8年で4度も起きているのだ。

     「サッカーの世界では何が起きても不思議ではない」。使い古された言葉だが、これは市場にも当てはまるのかもしれない。

    ※移籍金はすべて『transfermarkt』より。