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『ひるね姫』、『攻殻』、『東のエデン』など、神山健治監督の描くヒロインの魅力とは? |dメニュー映画×コラミィ

    3月18日公開の神山健治監督最新作『ひるね姫~知らないワタシの物語~』。監督自らが原作・脚本を手掛けた劇場版オリジナルアニメーションでは、主人公の女子高生・ココネ(声:高畑充希)が、自分が寝ている間に見る夢を頼りに、突然警察に拘束された父親を助けるために大奮闘する。

    身近にいるような親しみやすさとクルクル変わる表情が印象的なココネと同じように、神山監督は自身の作品のなかで、物語の核を握る重要なポジションに魅力的な女性を据えてきた。

    草薙素子……神山版「攻殻」で親しみやすさがアップ

    「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」 販売元:バンダイビジュアル

    神山健治監督初監督作でもある「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(2002~2003年)の主人公・草薙素子少佐(声:田中敦子)は、押井守監督による『GHOST IN THE SHELL~攻殻機動隊~』(1995年)よりも、親しみやすいキャラクターデザインが特徴。髪と瞳の色も黒と水色から紫と赤へ変更され、よりカラフルに。

    “サイボーグとは何ぞや”というテーマをシリアスに描いた映画とは異なり、海外TVドラマ的なバラエティ豊かなストーリーの中、バトーやトグサ、そしてタチコマといった公安9課の面々との掛け合いも増えたことで、前作から引き続き彼女の声優を務めた田中敦子の演技も、より人間らしさが感じられるものに変化している。

    バルサ……「精霊の守り人」の強さと勇気、そして母性。

    上橋菜穂子の児童小説をアニメ化したファンタジー「精霊の守り人」(2007年)では、短槍使いの女用心棒・バルサ(声:安藤麻吹)が大活躍。ひょんなことから新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムの命を守る役目を担った彼女は、圧倒的な強さと修羅場をくぐり抜けてきた経験で、帝が使わした追っ手からチャグムを救い続ける。

    傷だらけになりながらも、時には母親のような優しさでチャグムを包み込むバルサの姿に「こんな人になりたい!」と憧れる女性ファンも少なくない。声優・安藤麻吹の温かさとりりしさを兼ね備えた声質も、バルサというキャラクターにさらなる深みを与えた。

    森美咲……「東のエデン」のヒロインは「ごくごく普通」が魅力

    記憶喪失の青年・滝沢朗(声:木村良平)と偶然出会った女子大生・森美咲(声:早見沙織)。80億円超の電子マネーがチャージされた携帯電話を手に“日本を良くするため”に選ばれた11人によるゲームに参加している滝沢の行動を誰よりもそばで見守った彼女の11日間を描いた「東のエデン」(2009年)。

    ヒロインでもある咲は、どこにでもいそうな普通の女の子。家族や仲間には思いやりを持って接していても、心のどこかで退屈な日常が壊れるのなら誰かが犠牲になってもかまわないと思っていたりと、人間らしい部分をのぞかせるキャラクター造形は、彼女を演じた早見沙織の初々しい演技も相まって、同年代の共感を呼んだ。

    フランソワーズ・アルヌール……003は待つ女性から“呼び起こす女性”に

    『009 RE:CYBORG』通常版 Blu-ray 5,800円+税 DVD 4,800円+税 発売元:バップ-(C)2012「009 RE:CYBORG」製作委員会

    漫画家・石ノ森章太郎原作の「サイボーグ009」の紅一点のサイボーグ003、フランソワーズ・アルヌール。強化された聴覚と視覚を駆使して、他のゼロゼロナンバー・サイボーグたちのサポート役を務めることが多く、控えめな印象のキャラクターだった。

    神山監督による劇場版フル3DCGアニメ『009 RE:CYBORG』(2012年)では、ごく普通の高校生として東京で暮らす島村ジョー=009(声:宮野真守)の記憶を呼び覚ますため、フランソワ(声:斎藤千和)は飛行機から六本木の高層ビルへとダイブする大胆さを披露。白いタイトミニスーツと黒の網タイツ、黒いレースのランジェリー姿、ワインカラーのタイトミニワンピという、今までにないセクシーな出で立ちと、大人の女性の色香を漂わせる声優・斎藤千和の演技によって、今までにない003像が描かれたことでも話題に。

    こうして振り返ると、神山監督作品にメインキャラクターとして登場する女性たちには「芯の強さ」という共通点が浮かび上がってくる。大切なものを自分の手で守るために、どんな困難も乗り越えようとする勇気を持った“神山ヒロイン”、そこに新たに加わった『ひるね姫〜』のココネの魅力をぜひスクリーンで確かめて欲しい。

    『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』2017年3月18日(土)全国ロードショー-(c)2017ひるね姫製作委員会

    (文/中村実香・サンクレイオ翼)