アニメーション映画『借りぐらしのアリエッティ』や『思い出のマーニー』の監督である米林宏昌。今年の夏にはジブリではなく、一昨年に設立された映画制作会社「スタジオポノック」により長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』が7月8日から公開されます。今作は、“21世紀の新しい魔女映画”とも紹介され、今夏一番の注目として大きな話題となっています。
これからの日本アニメーションを支える米林宏昌とは?
日本の代表的なアニメーション映画監督といえばジブリの高畑勲、宮崎駿、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』でお馴染みの細田守、『言の葉の庭』や『君の名は。』を手がける新海誠などの名前が浮かびます。そういった面々に次ぐ、これからの日本のアニメーション映画を背負う注目の監督のひとりが米林宏昌です。
米林監督の代表作にジブリで制作された『借りぐらしのアリエッティ』・『思い出のマーニー』の2作がありますが、米林監督はもともとジブリのアニメーターとして『千と千尋の神隠し』や『崖の上のポニョ』の原画を担当するなどの活躍をしていました。アニメーターとしての技術がとても高く、『崖の上のポニョ』の原画を担当した際には、あの宮崎監督を唸らせたなんていうエピソードもあります!
ポノック第一弾はアクション・ファンタジー!
スタジオポノックが設立され、新たなスタートを切った米林監督。ジブリ退社後、最初の大仕事となる映画『メアリと魔女の花』は、イギリスの作家メアリー・スチュアートによって1971年に書かれた児童文学を原作とする作品です。
『メアリと魔女の花』は、米林監督の前作『思い出のマーニー』とは打って変わってアクションが多いファンタジー映画となっています。特報映像の中の“魔女、ふたたび。”というフレーズはかなり意味深に響き、とても印象的。魔女がテーマとなる映画と言えば、やはりジブリの名作『魔女の宅急便』が思い浮かびますよね? 実はこれは米林監督がプロデューサーの西村義明氏から提案された企画なんだそう。西村氏が自分たちが子ども時代の記憶にある『魔女の宅急便』とは異なる、自分たちの子どもたちの世代に向けた“21世紀の新しい魔女映画”を作ろうと提案したことから、今回の『メアリと魔女の花』が生まれたことを明かしています。
特報映像を見ると、作画のタッチが米林監督らしい、鮮やかで美しい中にも温かみのあるもので、まさに“ジブリの絵”という印象を受けます。そして海外からは「まるで『崖の上のポニョ』と『魔女の宅急便』の融合だ」というなかなか鋭いリアクションも……! たしかに、映像の中で少女が何者かに追われているシーンでは『崖の上のポニョ』を連想させる演出があります。
ポノックは新生ジブリと称されることもありますが、さらにその上を行く新たなアニメーションスタジオとして、今後の成長も大いに期待していきたいですね。まずは第一弾作品『メアリと魔女の花』の続報を楽しみに待ちつつ、劇場で作品を見届けましょう!
(文/上野澪@HEW)