天皇杯開催のため、4試合開催(順延試合のあるチームは除く)となった8月。第30節消化時点での順位表と先月末時点での順位表を見比べてみると、6位と7位の勝点差が広がってきたことが分かる。もちろん7位以下のチームにも昇格プレーオフ進出圏内浮上への可能性は残されているものの、上位6チーム(コンサドーレ札幌、松本山雅、セレッソ大阪、ファジアーノ岡山、清水エスパルス、京都サンガF.C.)がJ1リーグ昇格に向けて着々と歩を進めていることが見て取れる。
FC町田ゼルビア(2敗2引き分け)やレノファ山口(1勝1敗2引き分け)など序盤~中盤にかけて上位戦線をかき回してきたチームが思うように勝点を積み重ねられなかったのに対し、上位6チームはコツコツ地道に結果を残してきた。何があるか分からないのがJ2リーグの怖さではあるが、少なくとも自動昇格については、この6チームに絞られたと言えるだろう。
中位グループで勢いを見せたのは横浜FCとザスパクサツ群馬。横浜FCは6月中旬にミロシュ・ルス監督が健康問題で辞任し、強化担当の中田仁司氏が就任。昨季も同様の経緯で監督を務めていたが、その際は終盤戦での“敗戦処理”の感が強かった。しかし今季は時間もあり、じっくりと腰を据えて指導に携われるのは好材料。イバと大久保哲哉のツインタワーが猛威を振るい、C大阪と札幌を撃破。また日本サッカー界のレジェンド、三浦知良が自身の持つ最年長記録を更新するゴールも挙げるオマケつき。群馬は前月まで降格圏にありながら、3勝1引き分けで一気に15位まで浮上し、更なる高みを見据えている。上位同士の直接対決の結果も気になるが、中位陣の健闘がJ2リーグを面白くしてくれそうだ。
気になる残留争いだが、前月から変わらずFC岐阜、ギラヴァンツ北九州、ツエーゲン金沢の3チームが下位から抜け出せない現状となっている。一方でカマタマーレ讃岐やモンテディオ山形も勝点が伸びず、残留争いに加わりそうな雰囲気。特に山形の不振は想定外のもので、この先に上がり目が感じられないのが厳しいところ。それでも選手層は分厚いだけに、苦境からの脱却を山形県知事も祈っているのではないか。
松本は1勝3引き分けで自動昇格圏の2位をキープすることに成功。首位の札幌との勝点差を1広げてしまうなど足踏みしたのは事実だが、負けなかったという見方も出来る。それでいてC大阪との“シックスポイントゲーム”をしっかりとモノにした辺りには勝負強さも感じる。終盤戦を前に上位陣との直接対決は全て終えてしまう松本にとっては、この時期に得た勝点1の意味がのちのち問われることになるだろう。
(文・「松本雷鳥通信」編集部)