熊本地震や天候不良もあってチーム間で消化試合数にバラつきがあった今季のJ2リーグも、9月末時点でようやく同数となった。残り試合も一桁となりリーグも大詰めを迎えたが、昇格争いの上位6チームの顔ぶれに変化はなかった。9月は天皇杯が開催されたということもあり、リーグ戦そのものが多く行われなかったことも要因の一つだろう。
とはいえ6位・京都サンガF.C.と7位・横浜FCの勝点差は5となっており、まだ何があってもおかしくはない数字だ。ただ上位6チームが依然として昇格争いをリードしているという点に変わりはない。
そんな中でも強さが光ったのは首位の北海道コンサドーレ札幌で、もはや自動昇格を手中に収めているといっていい。例年の昇格争いを見ると、試合数×2の勝点が優勝ラインである。つまり優勝争いするためには最終勝点が84必要となるが、札幌は33試合を消化した時点で勝点74。他を圧倒した2年前の湘南ベルマーレほどではないが、例年の優勝ラインを大きく上回っている数字だ。深井一希をはじめとして多くの選手を負傷で欠いているため先発メンバーも日替わりを強いられている中、この結果を残せているのは見事としか言いようがない。また3位のセレッソ大阪も3戦全勝で猛追しており、追われる立場の松本山雅FCとしては冷や汗も流れる。注目は3試合とも無失点勝利となっており、序盤の手堅いサッカーを思い出してきた感がある。
中位陣も大きな変動はなく、一進一退の状況となっている。横浜FCやジェフユナイテッド千葉も昇格争いに参戦するには決め手に欠けて、FC町田ゼルビアやレノファ山口も往時の勢いはない。どのチームも現状を維持することで精一杯というところ。順位を上げて、上位陣の牙城を崩すには至っていない。この状況が続けば、上位6チームの顔ぶれが確定するのも、遠い先の話ではないだろう。リーグ戦を盛り上げるためにも、中位グループの躍進には期待したい。
残留争いも同様に、先月から大きな変化は見られない。多少の順位変動はあれど、カマタマーレ讃岐、FC岐阜、ツエーゲン金沢、ギラヴァンツ北九州の4チームによる争いとなっている。さらに群馬や熊本にも残留争い参戦の可能性はありそうだが、調子の上がらぬモンテディオ山形も心配。戦い方が定まっておらず、フォーメーションも3-4-2-1から4-4-2、そして再び3-4-2-1にするなど“その日暮らし”の試行錯誤が続いている。ライバルとの直接対決でも勝ち切れないため、なかなか上を向けない現状。これには石﨑信弘監督も頭の痛いところだろう。
最後に松本にも触れておくが、3試合を2勝1引き分けと合格点の戦績で終えた。ザスパクサツ群馬戦がドローに終わったために消化不良の感もあるが、京都と清水エスパルスに勝っているのだから文句を言うと罰が当たるというもの。泣いても笑っても、残り試合もあと僅かだ。(文・「松本雷鳥通信」編集部)