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8000人の敵地ファンにたった1人で挑む少年… スイス2部の“1人ファンクラブ”を独紙が紹介|コラミィ× スポーツ

    多くのファンが詰めかけるFCチューリヒのレッツィグルンド・シュタディオン(Getty Images)

     8000人以上の相手ファンを前に、たった1人で愛するチームを応援する「世界で一番孤独なファン」がいる──、独『ビルト』紙(電子版)が“1人ファンクラブ”として選手に声援を送る14歳の少年の話を伝えている。

     『ビルト』紙が「世界一チームに忠実で孤独なファン」として伝えたのは、スイス2部リーグを戦うFCルモンのファンで、14歳のエマヌエル・マスメヤンくん。現地時間15日(以下現地時間)に敵地で行なわれたFCチューリヒ戦では、8488人の敵サポーターを前に、たった1人でバナーを掲げ、太鼓を叩き、歌を歌って90分間チームを鼓舞した。

     2014年に友人2人とファンクラブを立ち上げたというマスメヤンくんは、両親と休暇に行く以外は欠かさずアウェイ戦に来ているという。この日、チームは先制に成功するもその後追いつかれ、1対1で試合を終了。それでも勝ち点1を獲得し、マスメヤンくんは選手を称えた。彼は試合後、スイスメディアに「今日もまた、僕1人だったみたいだね」と語った。

     FWパトリック・ベンゴンドは「なんてすごい子なんだ。この1ポイントは彼に捧げるよ」とコメント。なお、マスメヤンくんはハーフタイムにソーセージを買いに行ったが、アウェイファン向けのスナックスタンドは彼のために営業しているようなもの。スタンドの女性は「こんなの初めてだわ」と驚きの言葉を残している。

     マスメヤンくんが21日付の『ビルト』紙に語ったところによると、ルモンのファンは400人ほどいるものの、スタジアムで歌を歌うほど熱狂的なファンは2、3人だという。また、チームが本拠を置くローザンヌの村は人口5000人ほどで、アウェイ戦にも人は集まらない。「だから僕は誇りに思っている」と少年は語り、「ルモンにはサッカーへの情熱というものがないんだよね」と話した。

     自分自身は健康面の問題により、サッカーをすることはできないというマスメヤンくん。その情熱はどこから来るのかと訊ねられると、「常に勝つとは限らないチームのファンでいた方が、楽しいよ。手に汗を握る試合がいくつかあるし。レアル・マドリーやバルセロナのように、毎回勝てるわけじゃないから」と理由を語った。