ピッチを彩るゴールパフォーマンスJ2山形FW林陵平|コラミィ× スポーツ

186cmの長身だが、高さ以上のこだわりは足元の技術。相手に体を密着させ、どっしりと腰を落として懐を作り、ボールをキープしたりワンタッチではたいたりするポストプレーを武器に攻撃を組み立てた。

昨シーズン、序盤で躓いたJ2のモンテディオ山形は、林陵平を1トップに据える4-4-1-1にシステムを変更。ディエゴ、汰木康也、伊東俊が周囲で絡みながら速いパス回しの攻撃を実現した。好調時にはクロスからのワンタッチゴールでも研ぎ澄まされた鋭さを感じさせる。

フォーワードとしては珍しい背番号8は、敬愛するズラタン・イブラヒモビッチがインテル時代の3シーズン着けていた番号に由来する。出場機会を求めて柏レイソルから期限付きで加入したのが12年7月。その年は39番を着けたが、翌年から8番に袖を通し3シーズンプレーした。

奥野僚右監督体制2年目の13年にはチームの攻撃的なスタイルに乗り、中島裕希とともにチームトップの12ゴールを叩き出した。しかし、好事魔多し。シーズン終盤の第40節・松本山雅戦で、ゴール前のこぼれ球に飛び込みシュートした際、相手と接触。利き足の左足の前十字靱帯を損傷し、手術とリハビリで本来のパフォーマンスを取り戻すまで長い時間を要した。しかし、同時期に同じ施設内でリハビリをしていた長谷部誠や内田篤人と交流を深めるなど、ちゃっかり自分のプラスに換えてしまうポジティブさも持ち合わせている。

自他ともに認める「海外サッカーオタク」で、自宅では毎日数試合の映像チェックを欠かさない。シーズンオフにはイブラヒモビッチ目当てに現地まで飛び、試合観戦のみならず、練習見学、さらにファンサービスまで受ける完全なミーハーモード。「ファンサを受ける側の気持ちもわかりました」。ニヤリと口角を上げた。

これほどのオタクぶりに白羽の矢が立てられる。オフ期間中には海外サッカーのテレビ解説のオファーを受け、意欲的に参戦。プレーの特徴ばかりか、その選手のサイドビジネスなどの小ネタやフロントスタッフの話題にまで言及、マニアックさでサッカーファンにも一目置かれる存在となった。足底やかかと部分に滑り止めが付いているトゥルーソックスの選手を見つけるとサラリと解説。林自身もこのソックスが気になり、検索して購入したそうだが、ディエゴや山岸範宏などが着用するなどチーム内にも波及させた。

海外で活躍する選手から拝借したゴールパフォーマンスもすっかり定番に。過去に行ったのはミチュ(ミゲル・ペレス・クエスタ)、ファビオ・ボリーニなど人選はマニアック。ジラルディーノのバイオリンを弾くパフォーマンスでは左右の手を逆にしてしまったとして、のちにゴールした際にやり直しをする念の入れようだった。14年12月に第一子となる長女が誕生。パパになって最初のゴールを決めたのは翌15年のJ1-1st 第8節・清水エスパルス戦。前半0-3の劣勢から追いつく3点目の同点ゴールをゲットし、フランチェスコ・トッティのおしゃぶりポーズで自ら長女誕生を祝った。
 
移籍先のJ2水戸ホーリーホックで指揮を執る西ケ谷隆之監督とは、東京ヴェルディユース、明治大学に続き、3度目の師弟タッグとなる。林は「尊敬しているし、サッカーに関しては頭のいい人」と西ケ谷監督を評し、水戸に対しても「前回ホームでやったときも非常にいいチームだなと感じました。切り換えとか、連動とかもすごいしてました」と話している。信頼できる指揮官のもと、独自のカラーを発揮しゴールを量産できるか。すでに次のゴールパフォーマンスも用意されているはずだ。(写真=嶋守生)

  【佐藤 円】さとう・まどか。山形県鶴岡市出身。フリーランスのライター。サッカー専門新聞「EL GOLAZO」ではモンテディオ山形担当。