J2山形の環境の変化 ちょっと上のビジョンを|コラミィ× スポーツ

 

1月中旬に御前崎キャンプを取材した時に、モンテディオ山形からの依頼で今年のイヤーブック用にとある2人の選手へインタビューさせていただきました。在籍年数上位の2人と言えば誰かわかると思います。広報さんが「今のこそ動画でしょ?」と選手から言われるくらいの名言もあるので、ぜひご一読ください。

インタビューはクラブの近年を振り返る内容ですが、その中で近年のモンテディオ山形の環境の変化にも触れています。石﨑信弘前監督が最初に監督を務めた頃はクラブハウスすらなく、選手たちが車のトランクでお尻を出しながら着替えていましたが、クラブハウスが出来てから山形に来た選手たちにとっても大きな変化はあったようです。何度も書いたことですが、他クラブから来た選手に聞く限りでも「恵まれている」と言われるくらい、J2の中では環境が整っている方のチームです。

山形の場合、多くの選手が「2度J1に昇格している」というフレーズを用いたように、2度J1に昇格したという実績も大きいようです。今年はその実績と環境というメリットを活かして選手補強ができたのではないでしょうか。

さて、先日、V・ファーレン長崎の16年度決算が約1億2千万円の赤字見込みであるという大きなニュースが流れてきました。数年前まで数千万円の累積赤字を抱え、16年度も赤字決算となったモンテディオ山形としては大きな事が言えないのですが、J1昇格に限らず、高い目標だけを掲げて背伸びをし続けてチームの土台作りや環境整備を怠ると、そのうち足をつって倒れて込んでしまう。これが今のJリーグのクラブ運営事情だと改めて思い知らされました。

モンテディオは、J1に昇格した時にクラブハウスの増設やスタッフの増員など、クラブの環境を一気に整備できたという幸運があり、この環境をベースにしてJ2に降格しても再びJ1を目指せたと思います。

一度プレーオフに行ったから、一度J1に上がったからと言って、再び同じチャンスを掴めるとは限らないくらい厳しいリーグ。一段ステップアップできたから調子に乗ってもう一段上に、ではなく、焦らずに一度地固めをしておくことが大事なのでしょう。その判断を誤って背伸びした運営を続けて勝負をかけると、失敗した時に大きな痛手を被ります。

ただ、観客動員やスポンサーの問題もあって、今のJ2チームの多くは「J1昇格を目指します」と目標を掲げないとなかなかついてきてくれないのが苦しいところです。
JFLや地域リーグのクラブであれば上を目指さない選択もありますが、地域密着を目指すJリーグである以上、特に地方クラブはその地域の旗頭でありシンボルです。上を目指さなければ飽きられてしまうというリスクは確実に存在します。

一番大事なのは、高すぎず、実現可能なビジョンをクラブ側がしっかり提示して目指していくことです。モンテディオの場合、「J1昇格からJ1定着」という身の丈のちょっと上を目指すビジョンがあるので、それに向かうことができています。

全てのJ2クラブがJ1を目指すには厳しすぎるJ2リーグです。まあ個人的には「J2で優勝したし条件は満たしましたがJ1に昇格しません。ずっとJ2のままでいいです。賞金だけもらいます!」とか胸を張る最強の門番チームがあっても良いと思っていますが、それはサポーターや地域のスポンサーに「そういうクラブなんだ」と認められた時に初めて経営が安定するのでしょう。

そんなチームに限りませんが、サポーターやスポンサーなどがクラブの運営方針を理解して協力することが大事なのでしょう。

【嶋 守生】しま・もりお。山形県東村山郡山辺町出身。モンテディオ山形ファンマガジンRushでメインライターを務めているフリーランスのフットボールライター。モンテディオ山形ゴール裏の元住人で、サポーターの目線とクラブやチーム側の目線の両方を持つことがモットーのサポライターを名乗る。J1に初挑戦した09年から執筆活動を行い、試合によっては試合写真の撮影も行っている。