チーム始動から精力的な練習を続けてきたJ1・名古屋グランパスは、1次キャンプ地であるタイへ旅立ち、長いシーズンを戦う体作りを始め、新シーズンへの準備を着々と進めている。
さて、体作りといえば何より重要なのが栄養補給。要するに食事である。特に外国人選手にとっては、その国の食事スタイルに慣れることができるかどうかは、大げさでなく死活問題となる。食事が合わなければ疲労回復の効率も下がり、ストレスも溜まってしまうからだ。
ただ今季名古屋に加入したDFオーマンとFWシモビッチの両スウェーデン人については、その心配は全くいらないようである。スタッフの話によれば、2人はまずはどんなものでも口にして、それから判断するとのこと。未知の食べ物を口に運ぶのは意外に勇気がいるものだが、彼らはまったく問題としないらしい。しかもシモビッチは199cm93kgという体格だけに食べる量自体は多いものの、食べ過ぎにはしっかり気を遣う面も見せているとのことで、実に頼もしい。
とはいえ、まだ日本語もあまり理解していない状態だけに、夕食などはスタッフたちと食べに行くことが多いそうだ。そこで最近何を食べたかを聞いてみると…?
「焼肉と寿司だね。ウナギも食べたよ。寿司は『マキ』(巻きずし)がいいね」(シモビッチ)
「『焼き』はバーベキューで、『肉』はミートなんだね、ヤキシモ!(焼きシモビッチの意)ヤキシモ!(笑)」(オーマン)
オーマンのスウェディッシュジョークはこの際置いといて、やはり焼肉は外国人選手には鉄板の模様。意外なのは、外国人の方が苦手としている海苔を平気で食べるということだ。何でもスウェーデンには有名な日本料理店があるとのことで、そこですでに経験済みなのだとか。他にもスタッフの方から聞いた話では、名古屋名物の味噌煮込みも問題なかったらしい。
ちなみに寿司といえば、回転ずしも楽しんだ様子だ。
「スンヒ(李承煕選手)とスタッフ2人との5人で行ったんだけど、(写真を見せながら)45皿食べたよ」(シモビッチ)
え!一人で45皿はすごい!!(記者)
「いや、スンヒが25皿食べたんだ、僕は3皿だけだよ(笑)」(シモビッチ)
もちろんこれは冗談で、写真には推定20皿ほどがシモビッチの傍らに置いてあった。しかしながら何皿食べたかという真相は究明できていない。ともあれ、日本スタイルの食事を楽しめているのは何よりで、ピッチに集中できる環境が作れていることにも一安心。日本食パワーを充電した彼らのプレー面での本領発揮が楽しみで仕方ない。
【今井雄一朗(いまい ゆういちろう)】1979年生まれ。2002年に「Bi-Weeklyぴあ中部版」スポーツ担当として記者生活をスタート。同年には名古屋グランパスのサポーターズマガジン「月刊グラン」でもインタビュー連載を始め、取材の基点を名古屋の取材に定める。以降、「ぴあ」ではスポーツ全般を取材し、ライターとしては名古屋を追いかける毎日。09年からJリーグ公認ファンサイト「J’s GOAL」の名古屋担当ライターに。12年、13年の名古屋オフィシャルイヤーブックの制作も担当。