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ハリウッドの体重事情とタコス・ダイエット流行の予感?|dメニュー映画×コラミィ

    文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

    年末年始に美味しいものを食べまくり、心も体も栄養チャージ! でも、体重計に乗るのが怖い……という方も多いのでは? 一方、ハリウッドには、栄養チャージとは関係なく、役作りのために激しい増量&減量に挑む俳優が多く存在する。そんな体を張った俳優たちの姿と、ハリウッドの体重事情について紹介したい。


    役作りのカリスマ、ロバート・デ・ニーロ(写真は『世界にひとつのプレイブック』より)
    Courtesy of The Weinstein Company/Jojo Whilden

    元祖・肉体改造男優といえば、ロバート・デ・ニーロ。役作りのために、体重や人相、声、雰囲気までも変化させる演技手法は「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ばれているほどだ。最も有名なのは、実在のボクサー、ジェイク・ラモッタに扮した『レイジング・ブル』(1980)。ミドル級チャンピオンの強靭な肉体と引退後の肥満体型を実現するために27キロ増量した。


    『ファイター』で第84回アカデミー賞助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベール
    Photo by MICHAEL YADA / © A.M.P.A.S.

    体重コントロール王ともいうべきは、クリスチャン・ベール。『マシ二スト』(2004)では不眠症の役を演じるために、毎日ツナ缶1つとリンゴ1個だけを食べ、28キロの減量で骨と皮だけのような姿に。わずか数カ月後には『バットマン ビギンズ』(05)のために鍛え上げられたボディに変身していた。そして、『ザ・ファイター』(10)では薬物中毒の元ボクサーを演じるために13キロの減量(と脱毛&歯並び変え)をし、『ダークナイト ライジング』(12)で再びバットマン・ボディに復帰。『アメリカン・ハッスル』(13)ではおなかのデップリとした詐欺師に扮するため、チーズバーガーを食べ続けて18キロ増量した。ここまで来ると、体への負担を心配せずにはいられない。

    このほか、トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、ジョージ・クルーニー、ブラッドリー・クーパーらも体重増減の役作りで有名。七変化俳優のジョニー・デップも、昨年公開の『ブラック・スキャンダル』にて、冷酷な凶悪犯ホワイティ・バルジャーに扮するため、増量&薄毛&青いコンタクトレンズという姿に変身した。


    『モンスター』で第76回アカデミー賞主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロン
    © A.M.P.A.S.

    女優では、シャリーズ・セロンがピカイチ。実在した元娼婦で連続殺人犯のアイリーン・ウォーノスを演じた『モンスター』のために、脂質と糖分の多いドーナツを大量に食べて13キロ増量。本人の面影がわからないほどに入魂した同作で、アカデミー賞主演女優賞に輝いた。昨年公開となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、自らの提案でスキンヘッド&ノーメイクで撮影に臨み、女優魂を見せた。同作も今年の賞レースを賑わせている。

    さて、これらの俳優が減量するときには、どうするのだろう? それまでのある種、無謀な食事方法をもとに戻すのはもちろんだが、ある程度まで戻った後は、食事のダイエットより運動を重視するようだ。特に最近のハリウッドでは、“女性がスリムであるべき”という長年の価値観が変わりつつある。今をときめくジェニファー・ローレンス(『世界にひとつのプレイブック』『ハンガー・ゲーム』シリーズ)が「ハリウッドの基準では、私は太っているらしい」と発言したり、「太っていること」が理由で配役を拒否された女優たちが、その事実の告白により、アンチテーゼを唱えている。

    さらに、フォトショップやデジタル技術で、体のシェイプや肌のシワやシミなどに加工をほどこされた女優やモデルの姿が出回ることにより、若者たちに歪んだ“美”の概念を与えていると警鐘を鳴らすセレブも。幼い頃からポッチャリ体型が原因でイジメを受けたことを明かしてきたケイト・ウィンスレットやビヨンセらが、ノーメイク&加工なしのセルフィーをSNSに投稿するなど、ありのままの自分であることの大切さを伝えている。


    菜食主義タコスのダイエット本として話題の“The Taco Cleanse”

    ちなみに、年明けから話題になっている面白ダイエットに、「タコス・クレンジング」がある。メキシコとの国境であるため、タコスやブリトーをはじめとするメキシコ料理の宝庫であるテキサス州オースティンで、“タコス科学者”を名乗る4人の女性が執筆した著書から生まれたもの。30日間、トルティーヤに野菜類を乗せたタコスのみを食べ続けることにより、健康的に減量できるのだとか。確かに、サラダだけでは小腹が空くところ、タコスの形にすれば、肉類がなくとも満腹感とご馳走感が同時に味わえる。こちらもメキシコとの国境である南カリフォルニアでもタコスは日常食で、すぐに浸透しそうなアイデア。早速、健康志向の女優ジェニファー・アニストンが実施宣言をしている。

    というわけで、年末年始に食べ過ぎた罪悪感など吹き飛ばし、健康的な生活と食事と運動により、自分がしっくりくるカラダを愛していきたいものである。

    この記事で紹介している作品

    マッドマックス 怒りのデス・ロード
    ハンガー・ゲーム FINAL: レジスタンス