企業経営のサポートガイド 渋田 貴正 / All About
源泉徴収票をなくしたら、まずは職場に再発行をお願いしよう

「確定申告の書類を作ろうと思ったけど、源泉徴収票が見当たらない!」なんてことは結構あるのではないでしょうか。特に年の途中で退職した人は、確定申告の時期まで日数があいてしまうため、紛失することも多くなります。
こんな場合は、職場(年の途中で退職していた人は、退職した職場)にお願いして、源泉徴収票を再発行してもらいましょう。しっかりと従業員情報や給料の情報を管理している職場であれば、おそらくすぐに再発行できます。(源泉徴収票は市区町村や税務署で発行しているものではないので、お間違いないように。)
また、所得税の還付を受けるためなどのケースで、過去の年分をさかのぼって確定申告する場合があります。このときにも、会社員であればその年の源泉徴収票が必要となります。とはいっても、その年の源泉徴収票ですら紛失してしまうのですから、2、3年前のものなんてもらったかどうかも覚えていないかもしれません。こんなときでも、労働基準法上は給与関係書類の最低保管期間は3年間なので、3年分の源泉徴収票は出してもらえるはずです。所得税の還付は5年分可能ですが、5年前の源泉徴収票となると、応相談ということになるでしょう。
どうしても源泉徴収票を発行してくれないときは?
そもそも源泉徴収票すら発行してくれない。こんな職場も中にはあるかもしれません。だからといって、確定申告する以上は、すべての所得を申告しなければならず、源泉徴収票がないからその分は申告しなくてもいいというわけにはいきません。
お願いしても埒が明かなさそうな場合、まずはその年の1月1日から12月31日までに支払いを受けた分の給与明細の数字を合計して、確定申告書を作りましょう。もし、どの数字を合計すればいいか分からない場合は、税務署の窓口で相談しましょう。
また、合わせて「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を税務署に提出します。これはどうしても源泉徴収票を発行してくれない場合に税務署に提出する書類です。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/annai/23100017.htm
それでは、そもそも給与明細すらもらっていない場合。これは、所得税に定める給与明細書の交付義務違反です。給与明細をもらっていないことも「源泉徴収票不交付の届出書」に記載して税務署に提出することになります。この場合は、源泉徴収されている所得税額も分からないでしょうから、その後の対応も税務署と相談して決めることになるでしょう。
もらっていたお金がそもそも給料ではなかったら?
源泉徴収票が発行されないもう一つの理由として考えられるのは、もらっていたお金がそもそも給料扱いされていなかったということです。フルコミッションで働く保険や不動産の営業の場合、もらうお金は給与ではなく事業所得となります。フルコミッションだと契約が取れなければもらえるお金も0円です。最低賃金もありますし、このケースでは給料扱いはできませんよね。
フルコミッションではなくても、給与の支払者側で請負業務として扱っている場合があります。本人は給料として受け取っているつもりでも、給料ではなく外注費としてお金を払っているケースです。この場合は、給与所得について発行される源泉徴収票の発行は行われません。代わりに「支払調書」なんて似たような紙もありますが、これは源泉徴収票と違って必須ではありません。なければ自分で集計して申告すれば大丈夫です。
この場合は、年末調整を受けていないため、確定申告の義務が生じます。自分は給料だと思っていたのに、違う名目で受け取っていたなんてことになると確定申告の義務が発生します。さらに、給与所得の場合に受けられる最低65万円の給与所得控除も受けられないなど、まさに踏んだり蹴ったりです。
この場合は確定申告の時点で判明しても時すでに遅しです。こうしたことを防ぐには、働き始める際の契約段階でしっかりと確認しておきましょう。
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