1年1ヵ月のリハビリ生活 着々と復帰への道を進む名古屋MF青木亮太|コラミィ× スポーツ

最近はトップ下の適任探しが急務となってきたJ1・名古屋グランパスにおいて、この男がいたら面白かっただろうな、と思う選手が20歳のMF青木亮太だ。卓越したボールコントロールと攻撃センスを持つ青木は、昨年3月の練習中に左膝の前十字靭帯断裂および外側半月板断裂、膝蓋骨脱臼という重傷を負い、以来地道なリハビリ生活を送ってきた。最近は徐々にそのペースが上がってきた感がある。まだ左膝にはプレートの入ったサポーターを着用しているが、練習メニューはステップワークやランニングなどが通常化してきており、その強度は昨季とは段違いだ。復帰へのプランもそろそろ立ってきた頃かと思い、青木を直撃してみた。

「今は徐々に走る時間を延ばしたり、ステップで膝の感覚を取り戻しているという感じですね。もう少し筋力が欲しいですね。戻ってきてはいるけど、まだ横方向への動きに怖さがあります。それとボールも少し蹴っているんですが、左の腰や股関節あたりが固いんですよ。開きが悪いというか、関節が回らないので、そこが右と同じようになってくれればと思います。ただ、このまま順調なら、6月にはフィジカルに行きたい状態ではありますね」

これは朗報である。開幕前後には「ちょっと遅れ気味ですね」と気落ちした表情を見せたこともあっただけに、練習合流への最終段階といえるフィジカルトレーニングが6月に行えれば、昨年末に「夏前には全体練習に合流していたい」という当初のプランは達成できる。

「トレーナーの方も、7月の2ndステージ開幕ごろに部分合流にはしたいと言っていました。長くて1年半と僕も思っていたので、9月までには試合に絡めそうです。逆にそれを過ぎてしまうと、ちょっと心が折れちゃうかも(笑)」

屈託なく「心が折れちゃうかも」と笑う青木だが、復帰後のプレーについてのイメージはバッチリ。少しも後ろ向きな気持ちはない。

「リハビリ期間には特に体幹トレーニングをしっかりやりました。それに今までの自分は相手のコンタクトを受け身で受けていたので、腕の筋力をもう少し上げたいと思ってやっています。小さい頃から『相手に触られるな』と言われてきたんですが、腕を使ったドリブルもできるようにしたいんですよ。そうすれば見なくても手で寄せてくる相手との距離感が取れるので」

相手との距離感と聞いて思わず手を叩いた。負傷防止のための考えも、しっかり働かせているのだ。ドリブル話はさらに進み、独特のリズムを刻むドリブルの源泉についても聞かせてくれた。

「親にずっと『逆を取れ、タイミングを外せ』と言われてきたんですよ。僕は体が大きくないから、触られないようにということで。だから僕はいつも、逆を取ってタイミングを早くして、相手より速くスペースに抜け出すドリブルを考えているんです。そうすれば、触られないから」

これまた大きく首肯してしまった。独特のリズムとは、タイミングの使い方だったというわけだ。タッチ数が多くスルスルと抜けていくようなドリブルは、天然ではなく後天的に身に着けたものだということも驚きだったが。

「そういうのって、ネイマールが上手いんですよ。スピードに乗って2人の間を抜けていくとか、そういうのは映像を何回も見ちゃいます。止まった時のテクニックは今からはもうどうしようもないけど(笑)、スピードに乗ってのドリブルなら、僕にも真似できますからね」

……普通の選手は、スピードに乗った中でテクニックを発揮する方が難しいと思う。このあたりは、以前楢﨑正剛に「宇宙人みたいなボールタッチをする」と言わしめた新時代のサッカー選手だけのことはある。「とりあえず今は、このサポーターを外す時がちょっと怖いです」という表情も、それほど深刻なものではなかった。まずは6月、菊池忍フィジカルコーチの個人レッスンに進むこと。それがクリアできた時、小倉隆史GM兼監督は最高のジョーカーを手にすることができるかもしれない。

【今井雄一朗】いまい ゆういちろう。1979年生まれ。2002年に「Bi-Weeklyぴあ中部版」スポーツ担当として記者生活をスタート。同年には名古屋グランパスのサポーターズマガジン「月刊グラン」でもインタビュー連載を始め、取材の基点を名古屋の取材に定める。以降、「ぴあ」ではスポーツ全般を取材し、ライターとしては名古屋を追いかける毎日。09年からJリーグ公認ファンサイト「J’s GOAL」の名古屋担当ライターに。12年、13年の名古屋オフィシャルイヤーブックの制作も担当。