FW岡崎はエースの穴を埋められるか? 写真は2016年01月10日(Getty Images)
レスターに試練の時が訪れた。イングランド・プレミアリーグで優勝を争うトッテナムに残り4試合で勝ち点5差に迫られ、さらにジェイミー・ヴァーディを欠くことになったのだ。
史上初のトップリーグ制覇へ順風満帆に見えたレスターだが、現地時間17日のウェストハム戦は2対2のドローで終了。数的不利のなか、土壇場に追いついて難敵から勝ち点1を奪ったことはポジティブだ。最終的にこの1ポイントが、明暗を分けることになるかもしれない。
しかし、ヴァーディに関しては想定外だろう。ウェストハム戦で先制点を挙げて今季の得点数を22に伸ばしたエースだが、後半にダイブの判定で2度目の警告を受けて退場。スウォンジーとの次戦は出場停止になる。それだけでなく、退場の際にジョナサン・モス主審に激しく抗議したことで、FAからさらなるサスペンションを科される公算が大きい。
さて、ここで奮起が期待されるのが岡崎慎司だ。「トロイ人のように働き、困難から逃げない」「最高のサポート役」などなど、現地メディアにはその運動量や献身的な姿勢を評価する賛辞が並ぶ。クラウディオ・ラニエリ監督からの信頼も厚く、ハードワークをもってレギュラーの座を確固たるものにしている。
名脇役では不十分
しかし、ヴァーディ不在時は“名脇役”では不十分だ。
レスターのスタイルは、一言で表すなら堅守速攻。自陣にブロックを敷いて、ボールを奪うと手数をかけないカウンターで相手ゴールに迫る。非常にオーソドックスな戦術だ。攻撃においては「攻め切る」ことが最も重要となる。やり切ってさえしまえば、“カウンター返し”の形で失点するリスクは大きく減少するからだ。
通常このスタイルでは、チャンスの数自体が限られるため、必然的に得点力に課題を抱えがちになる。
ところが、レスターにはヴァーディとリヤド・マレズという独力で違いを生み出せる選手がいる。合わせて38ゴール17アシストを記録する二枚看板の存在が、その他のチームとの決定的な違いとなっている。そして、そのヴァーディが不在になるのだ。
岡崎は守備面やフリーランなど、黒子に徹することで、チームに多大な貢献をしてきた。しかし、ゴール数はここまで5。FWとしては少々物足りないことも事実だ。
プリマドンナが不在である以上、岡崎には自らが相手守備陣の脅威となり、ゴールを決めることが今まで以上に要求される。前述のように、チームとしては攻撃を完結させることが大事なので、個人の力でフィニッシュに持っていくことも必要となるだろう。
岡崎はエースの穴を埋め、チームを歴史的優勝へ牽引できるのか。本拠「キング・パワー・スタジアム」のファンも、センセーショナルなオーバーヘッドに続く2点目を待ち焦がれているだろう。
“ハードワーカー”から“ストライカー”へ。今こそ、主役に躍り出るときだ。