今もなお、ニュースで度々耳にする「リーマンショック」という言葉。2008年、アメリカで起こったこの未曽有の大悲劇により多くの人々が自分の持ち家を手放してしまうことに…。
もし、このような事態になることを事前に予測している人たちがいたとしたら…。
今回ご紹介する『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は、2005年、好景気に沸くアメリカで、住宅バブルに隠された危険な「時限爆弾」に気づいた4人の実在したアウトロー達を描いた作品です。
「リーマンショック」や「サブプライム・ローン」といった、重要なキーワードと、作品について解説したいと思います。
おさえておきたい!キーワード集
ウォール街ってどこにある?
ニューヨーク・マンハッタンの通り周辺区域のこと。世界金融の中心地で、この区域には、大手銀行や証券会社が立ち並んでいます。
また、アメリカの金融業界や証券業界のことを、「ウォール街」と表現することも。
2011年には、この区域で市民による半格差デモが起こりました。
リーマンショックってなに?
アメリカの大手証券会社であるリーマン・ブラザーズが破綻してしまった事が発端となり起こった世界的な金融危機のこと。
サブプライム・ローンとは?
銀行が借金返済能力の低い市民に貸しつけた住宅ローンのこと。このローンを組み込んだ金融商品(モーゲージ債)が投げ売りされ、リーマンショックの引き金となりました。
空売り(ショート)ってなに?
劇中にも頻繁に出てくる”ショート”という言葉。
金融取引には”買い”と”売り”があるが、投資の世界ではそれぞれを”ロング”、”ショート”と呼びます。例えばある企業の株が下がると予想すれば、投資家は証券会社から株を借りて売却し、株が下がったら買い戻して利益を得る。これが株の空売り”(ショート)”です。
本作の主人公マイケルらの場合は、住宅市場の暴落を予想し、それが現実化すると莫大な利益が出るクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という保険に巨額の資金を投入。まさに世紀の空売り=逆張り戦略を実行しました。
映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』作品詳細
【ストーリー】
2005年、へヴィメタルをこよなく愛する金融トレーダー・マイケル(クリスチャン・ベール)は、格付の高い不動産抵当証券の何千もの事例を調べていく中で、返済の見込みの少ない住宅ローンを含む金融商品(サブプライム・ローン)は、数年以内にデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある事に気付く。だが、その予測はウォール街からも投資家からも相手にされずにいた。そんな中、マイケルは「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という金融取引に目をつけ、サブプライム・ローンの価値が暴落した時に巨額の保険金を手に出来る契約を投資銀行と結ぶ。
2008年、遂に、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が現れる――。
鬼才トレーダー・マイケル(クリスチャン・ベール)
マイケルは、巷で大量販売されている住宅ローンの暴落を予想し、暴落した場合に巨額の保険金を手にできるCDSを銀行と結びます。
反逆のトレーダー・ジャレド(ライアン・ゴズリング)
このマイケルの動きを察知したのが、若き銀行マンのジャレドです。マイケルの”空売り”に賛同し、住宅市場の崩壊を言葉巧みにマークたちに説明し、CDSの購入を勧めます。
怒れるトレーダー・マーク(スティーブ・カレル)
ヘッジファンド・マネージャーとして働くマークは、欲にまみれた金融業界の現状に怒りと悲しみを抱き葛藤しています。
住宅ローンの異常な実態や、格付け会社の評価のギャップに気づき、汚れたウォール街を改革しようと奮闘します。
伝説のトレーダー・ベン(ブラッド・ピット)
このウォール街の状況を、一歩引いた立ち位置で冷静に分析しているのが、元銀行員で伝説のトレーダー、ベンです。ウォール街参入を目指す若きトレーダーの手助けをしつつ、銀行員時代に築 いた豊富なコネクションを駆使して、ウォール街が犯したサブプライム・ローンにおける巨大なミスにつけ込みます。
日本の金融業界でも何が起こるかわからない…!?2016年度の台風の目になること間違いなしの『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。
リーマンショックにまつわる金融事情を予習しておくと、より一層楽しめると思います。時限爆弾のカウントダウンを連想させるスリリングな映像世界を、ぜひ劇場でご堪能ください。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
2016年3月4日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開
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