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iPhone 7発売!買い?iPhone 8を待つべき?|みんなの声×コラミィ

    文=熊坂多恵

     
    (C)2015『蜜のあわれ』製作委員会

    ソファに横たわった少女が、赤いミニワンピのすそから太ももを伸ばすキービジュアルにまんまと釣られました。映画『蜜のあわれ』、二階堂ふみ主演の文藝エロス!? いいじゃないですか!

    原作は大正、昭和に活躍した金沢三文豪の一人、室生犀星が晩年に書いた小説。年老いた作家と金魚の化身の少女の妖しいたわむれと聞いて、江戸川乱歩や谷崎潤一郎、坂口安吾あたりの耽美で退廃、幻想的で倒錯的なエロスを妄想。しかし、二階堂ふみが演じる少女・赤子は登場シーンから、ピチピチとヒラヒラと、大杉漣演じる老作家「おじさま」のまわりを元気よく飛び回っています。耽美や倒錯のイメージではないですが、老いて死が迫る「おじさま」から、生命力あふれる無邪気なミニスカ少女の若さやきらめきに包まれていたい、あわよくば己に取り込みたい、という、孤独な欲望がじわじわと感じられます。赤子以外の登場人物は、真木よう子演じる女幽霊、高良健吾演じる自殺した作家・芥川、永瀬正敏が演じる謎めいた金魚屋など、どれも時の止まってしまったような存在ばかり。その中で、赤子の奔放で刹那的な言動が、老作家の心をかき乱し、虜にしていきます。

    個人的にぞわっと来たのは、あどけない口調で「おじさま」とキワドイおしゃべりを続ける赤子が、ふと黙ってじっと相手を見上げる時の目とぽってりした唇。こんな目で見つめられたら、こんな唇で迫られたら、もう逃げられない、嬉しいというか怖いというか……。そして最終兵器はお尻。寄りで、引きで、じっくり見せられるお尻は、ムチっと丸く、パンとはっていて、「おじさま」ならずとも、思わずさわりたくなるような、肉感的なよいお尻なのです。

    さらにもうひとつ、赤子のあどけなくまっすぐな奔放さは、幽霊のしかも女の欲望さえも揺さぶるようで、なんと金魚と幽霊が妖しい関係に!? この真木×二階堂のからみが、想定外にセクシー。

    『蜜のあわれ』
    (C)2015『蜜のあわれ』製作委員会

    これはもう見てもらうしかないというか……。鬼才・石井岳龍監督が作りこんだロックな文藝映画の世界で、二階堂ふみはまさに金魚のような蠱惑的なエロスをふりまいています。

    二階堂ふみといえば、数多くの話題の映画で個性ある役を演じる、“ザッツ・映画女優”。かわいいのだけれど強く、癖があり、“清純派”なんか鼻で笑い飛ばすような、はじけた役柄セレクトが痛快です。

    『地獄でなぜ悪い』(13)ではヤクザの娘役、太ももも胸の谷間も見せまくりのビッチな格好で、叩き割ったビール瓶の破片を口に加えて浮気した男にディープキスをするというエロ恐ろしいシーンを嬉々として披露。『私の男』(14)では、一見地味なメガネの女学生と思いきや、浅野忠信演じる年上の男を骨抜きにする赤い下着姿がクラクラするほどいやらしく、男の人生を破滅させる魔性の女ともいえる役に驚愕させられました。『日々ロック』(14)では、人気アイドルなのに酔っぱらってロックバンドのライブのステージにあがり、『ロックならおっぱい見せろ!』と観客にやじられるや、ガバーっと胸元を開けて男たちに鼻血を吹かせる、とんがった女の子を演じ(残念ながら画面でおっぱいは確認できず)、『この国の空』(15)では、長谷川博己演じる妻子ある男と、終戦間際という極限状態の中で結ばれる若い娘の役を緊張感あふれるやりとりと生々しいからみで演じています。夜半、庭で水を浴びる裸の後ろ姿が実に美しかった。

    こうしてみると、必要とあれば露出も厭わない女優魂を感じますが、どの映画でも彼女の肢体はのびのびと、腕も足も肩も尻もしっかりとしていて、いやらしいというより健やかなセクシーさがあります。なにより、その目力と唇の魔力に、映画を見ていると吸い込まれそう。女子力、というか女度が高い! しかしこれでまだ御年21歳とは……。いまでも貫禄十分ですが、きっとこれからますますスゴイ女優さんになっていくことでしょう。

    この後も注目の出演映画が目白押し。少女マンガ原作という珍しく!?  正統派なスクールラブコメディ『オオカミ少女と黒王子』、そして、福山雅治とコンビを組む『SCOOP!』や小泉今日子と共演の『ふきげんな過去』など、人気スターたちとの共演が続きます。今後、二階堂ふみはどんな女優に成長していくのか。願わくは、そのエロさも一緒に磨きをかけていってほしいものですが、まずは21歳の二階堂ふみのエロスを『蜜のあわれ』でご鑑賞ください。『ねえ、キスしたら一息に飲みこんでほしいの』なんて言われちゃうんですよ。

    『蜜のあわれ』
    4月1日(金)より、新宿バルト9ほか 全国ロードショー!
    配給:ファントム・フィルム
    (C)2015『蜜のあわれ』製作委員会