私達の生活になくてはならないコンビニ。そのコンビニ業界に9月15日、新たな動きがあった。それが国内店舗数で業界3位のローソンを三菱商事が子会社化するという一報だ。
もともと三菱商事は2001年にローソンの筆頭株主となっており、総合商社である同社の海外の食品調達力や人材の強みを活かし、三菱商事からローソンへ人材を送り出すなど協力関係にあった。しかし、新たに1400億円前後のTOB(株式公開買い付け)で、現在33%の持ち株比率から過半数に高め、子会社化に踏み切る。
これは今年3月に国内店舗数3位だったファミリーマートと4位サークルKサンクスのユニーホールディングスが経営統合し、業界2位となる連合が誕生したことが影響していると考えられる。業界3位に転落することとなったローソンは、当時ローソン社長であった玉塚元一氏が3月に行われたローソンの新体制発表の会見で「三菱商事グループ全体を巻き込んで総力戦に持っていく。そうしないと勝てない」とのコメントを発表していた。
三菱商事とローソンの関係は子会社化によって、今後はこれまで以上に関係が強化されることになる。今年4月より三菱商事主導で開始した電力事業を押し進めるほか、ローソンの「小売業から製造小売業への転換」も進むだろう。山崎製パン、日本水産、キユーピーなどはローソン専用の工場を持っている。それらに対し三菱商事の後ろだてを持ったローソンが自ら設備投資をすることで、製品の質の担保を図りたい考えだ。また、近年コンビニ業界で激化しているプライベートブランド(PB)への注力も予想される。特にローソンのPBブランド「ローソンセレクト」ファンならさらなるパワーアップを期待したいところ。
業界トップのセブン-イレブン・ジャパンが盤石の今、2番手、3番手の動きが活発になることは、業界全体の活性化につながる。品質面や価格面、利便性などユーザーに還元されるメリットが増えることを期待したい。
(文/浅井英彦@HEW)