厳戒態勢のなかスタートしたEURO2016(Getty Images)
EURO2016は現地時間10日に開幕戦が行なわれ、ホスト国フランスがルーマニアに2対1で勝利。試合の行なわれたパリは昨年11月のテロ事件を受け、現在も非常事態宣言下にあることから、大会は厳戒態勢のなか始まった。しかし、英タブロイド紙『デイリー・ミラー』(電子版)は「セキュリティに大穴」とのタイトルで、警備の緩さを指摘した。
同紙はこの日、編集部のチーフレポーター、アンディ・ラインズ氏がイングランド代表のチームバス潜入を試みたところ、一切止められず入ることができ、運転席に座ることすらできたと画像付きで報道。過激派組織IS(イスラミック・ステート)がフランスを標的にしていることから、チームバスは24時間体制で監視されているはずだったが、辺りに警備の人間は1人もおらず、ラインズ氏は車両下部のトランクに入り込むことも可能だったという。
これを受け、英労働党のグレアム・モリス議員は「『デイリー・ミラー』の記者が運転席に座り、トランクにまで入り込めるなら、ISのテロリストにもできるじゃないか」「イングランドのチームバスが24時間警備されているというなら、その言葉どおり、24時間ずっと警備されていなくてはならない。まったく許し難いことだ。安全体制を今すぐ見直してもらいたい」とコメント。現地のセキュリティの甘さに立腹している。
同紙によると、チームバスはイングランド代表が合宿を行なっているシャンティイの駐車場に停めてあった。駐車場はフェンスで囲まれて出入り口には通常鍵がかけられ、昼は民間の警備員と犬、夜は武装した警官と警察犬がパトロールを行なっている。しかし、運転手がバスの掃除を終え、乗車口とトランクのドアを開けたまま離れたわずかな時間、バスは完全にノーマークになっていたという。
今月6日には、EURO開幕前日と大会中に15件のテロ攻撃を計画していたというフランス人の男がウクライナで逮捕されており、欧州に衝撃が走った。『デイリー・ミラー』は「それからわずか数日でセキュリティに穴が見付かった」と綴っている。