名所・旧跡ガイド 村田 博之 / All About
秋から春に咲く大原・実光院の不断桜

数え切れないほどの寺社仏閣がある京都。その中でも洛北(らくほく)にある大原は、デューク・エイセスの『女ひとり』の歌詞にも歌われた三千院(さんぜんいん)と寂光院(じゃっこういん)を中心にして、日々多くの方が訪れる京都の名所の一つですね。
木々が美しく色づく紅葉の時期、三千院は参道も含めて混雑するのですが、三千院の前を少し奥に進んで行くと人の流れが静かになり、個性あふれる寺院が点在しています。その中の一つ、実光院(じっこういん)には、落ち着いた庭園の中に秋から春にかけて咲く不断桜(ふだんざくら)が見られます。
今回は大原・実光院の不断桜をご紹介します。紅葉狩りの喧噪から離れて、静かに咲く可憐な桜の花がある風景はきっと旅の想い出になりますよ。
三千院の奥にある静かな寺院、実光院

実光院(Yahoo! 地図情報)は、大原・三千院の北側にある天台宗の寺院です。三千院の参道を進んで三千院の前を通り過ぎ、律川にかかる赤い橋を渡った先(Yahoo! 地図情報)にあります。
実光院は、すぐそばにある勝林院(しょうりんいん)の子院として建立されました。勝林院は、仏教音楽である声明(しょうみょう)を伝承するために平安時代の中期に建立された寺院で、子院である実光院、宝泉院(ほうせんいん)を含めて天台声明の根本道場として知られています。

それでは実光院にお詣りしましょう。小さな門をくぐり、拝観料を納めた後、客殿にあがります。
客殿では抹茶と和菓子を頂きながら、お庭を眺めます。喧噪とはかけ離れた静かな空間でほっとすることができますね。
客殿の南側に位置する契心園は池泉鑑賞式の庭園です。実光院と同じく勝林院の子院であった旧普賢院の庭園で、秋が深まってくると庭園の奥に見える紅葉も楽しめますよ。
そして客殿の西側には、勝林院の子院であった旧理覚院の庭園が広がります。この庭園はお庭をのんびり歩くことができる池泉回遊式の庭園。不断桜もこの旧理覚院庭園の中にありますので、落ち着いたら庭園に出てみましょう。
次で、いよいよ不断桜に対面!
秋から春まで咲き続ける不断桜に会いに行く

実光院の中、旧理覚院庭園の中に咲く不断桜。
ソメイヨシノなどの春の桜と異なり、秋から次の年の春まで咲き続ける珍しい桜なのです。

客殿からも不断桜の一部が見えますが、庭園に出れば不断桜の全景を見ることができます。
花の大きさこそ小さめですが、不断桜が咲く風景はきっと旅の想い出として刻み込まれることでしょう。

庭園にある池や、庭園の借景となっている遠くの山、庭園内にある柿の木など様々なものと組み合わせて、お気に入りの景色を探してみるのも楽しいですね。

そして、晩秋の実光院を参詣する時の一番の楽しみが、不断桜と紅葉のコラボレーション。
紅葉の色づき具合と不断桜の咲き具合によって雰囲気が変わってしまいますが、タイミングが良ければ絶妙な色具合を楽しめますよ。
大原にある実光院の不断桜をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?実光院がある三千院の奥には、座敷から眺める美しい竹林の風景が額縁の絵のように見える宝泉院などの名刹もありますので、たっぷりと時間を取って大原をゆっくり散策してみて下さい。
大原・実光院へのアプローチ

地図:Yahoo! 地図情報
アクセス:
■鉄道
東海道新幹線 京都駅から京都市営地下鉄 烏丸線に乗車し、国際会館駅下車。
京都バス 19系統 大原行き、大原経由小出石行きに乗車し、大原バス停下車。
三千院への参道を進み、三千院の前を通り過ぎた先に実光院があります。
なお大原へは、京都駅から直通する京都バス(17系統,18系統)も利用できますが、市内中心部を通り抜ける際に渋滞に巻き込まれることがあるので、時間に余裕を持つ必要があります。
■車の場合
名神高速 京都東インターチェンジから、三条通を蹴上方面へ進み、白川通を北上して国道367号線で大原へ。
大原バス停や三千院近くの駐車場に止めて歩く形になります。
【関連サイト】
All About 京都
実光院
◇「桜の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで桜の名所を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
◇「紅葉・黄葉の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで紅葉の名所を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
◇「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
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