チケット、それは大好きなアーティストや音楽と直に触れるための橋渡し。手に入れた瞬間から心臓の鼓動は早まり、「当日は何を着ていこう」「どんなイベントになるのかな」と考え胸が高まります。反対に入手できなかった時は、人々を絶望のどん底に突き落とす、まさに諸刃の剣……。
そして以前から、このチケット入手不可に拍車をかけているものがあります。それは、チケット転売。これまでも転売は多くの場面で禁止・嫌悪の対象とされてきました。しかし近年、チケット転売による事件が多発しており、高額転売や転売詐欺で実際に逮捕者も出ています。
そしてまた一人、チケットの高額転売で荒稼ぎしていた女性が逮捕され、話題となりました。 逮捕されたのは、香川県在住の山中いづみ容疑者(25)。2014年末から1年半の間に、なんと約300枚ものチケットを転売し、1000万円ほどの売り上げを得ていたとされています。転売していたチケットは、超人気アイドルグループ「嵐」。しかも定価の1.6倍である、7万円(5枚分)で売っていたというのですから悪質極まりません。
山中容疑者の罪状は”古物営業法違反”。古物営業法とは、簡単に言えば転売目的で入手した物を販売する際には、公安委員会からの許可が必要というもの。自分で使うために購入して、余った分を売るということであれば、許可は必要ありません。山中容疑者の場合は、販売した数や期間などを考慮して、明らかに最初から転売目的であると判断されたのです。違反した場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています。
このように、近年ますます肥大化する転売行為に対して、多くの団体や有名アーティストが高額転売を止めるよう共同声明を出しました。また抑止力として、電子チケットの導入や入場の際に本人確認をする傾向も高まりつつあります。このような動きが続けば、転売は減っていくかもしれません。ですが最も大切なのは、ファンが転売チケットを買わないこと。買い手がいなければ、また売り手もいないのです。
(文/桜庭巴)