苛立つC・ロナウド、守備的フットボールは悪なのか|コラミィ× スポーツ

相手の戦術を批判したC・ロナウド  写真は2015年6月14日(Getty Images)相手の戦術を批判したC・ロナウド  写真は2015年6月14日(Getty Images)

「守って、守って、守ってカウンターをしただけ」「ひたすら守るなんて、肝っ玉が小さい」

ポルトガル代表の主将クリスティアーノ・ロナウドは、1対1のドローに終わったEURO2016のアイスランド戦後、吐き捨てるように相手の戦い方を非難した。

1日前には、アッズーリ(イタリア代表の愛称)の堅牢な守備と老獪な試合運びに屈したベルギーのマルク・ヴィルモッツ監督が、「本物のフットボールではない」と不満を漏らしていた。

守備的なフットボールが、攻撃的なそれよりもウケが悪いことは理解できる。しかし、批判の対象になるようなものだろうか。

プロである以上、求められるものは結果。フットボールはゴールの数を競う競技であり、チャンスの数で勝負するものではない。まして芸術点などは存在しない。様々なスタイルがせめぎ合う多様性こそ、醍醐味ではないだろうか。

■フットボールの好みは様々

ドイツのレジェンドであるフランツ・ベッケンバウアー氏は、ペップ・グアルディオラ監督時代のバルセロナを「つまらない」と酷評した。ユルゲン・クロップ監督もドルトムント時代、アーセナルを好みでないと述べている。どちらも攻撃サッカーの代名詞のような存在で、世界的な人気を博すチームだ。

クロップ監督は、パスを繋ぐフットボールを「優雅なオーケストラ」と讃えつつも、自身のお気に入りはヘビメタだと断言している。この言葉こそ、本質を捉えているのではないか。

優れたオケの指揮者がボン・ジョヴィやエアロスミス、レッド・ツェッペリンを「本物でない」と批判するだろうか。世界的なヘビメタバンドが、ヴィヴァルディやショパンを、「肝っ玉が小さい」などと言うことも想像し難い。

サッカーも同様だ。攻撃的・守備的はあくまでスタイルの違いであり、対戦相手との力関係にも大きく左右される。好みはあれど、相手をリスペクトすべきだ。ほかならぬC・ロナウド擁するレアル・マドリーも、バルサの前で守備に徹することは少なくない。

“不人気な”カウンター戦術でも、感動を与えることはできる。熱血漢ディエゴ・シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーがスペイン二強に挑む姿は、多くの共感を呼んでいる。レスターのプレミアリーグ優勝は、「おとぎ話」として世界中でもてはやされた。

■EUROは夏フェスのような存在

今夏、フランスでは様々なスタイルを持ったチームがしのぎを削る。王者スペインはオーケストラのようにパスのハーモニーを奏でるだろうし、イングランドは若き才能がロックの如く躍動するかもしれない。

アイルランドら英国系のチームはハードワークとファイトを怠らず、守備を固めて相手の隙をうかがうチームもあるだろう。スタイルは千差万別だ。欧州各国の強豪が一堂に会すEUROは、フットボール界の夏フェスのような存在と言えるかもしれない。少なくとも見る者は、多様性を否定せず、楽しんでもらいたい。