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キュートで簡単!猫耳ヘアアレンジのやり方・作り方|みんなの声×コラミィ

    文=中山治美

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    ウェス・アンダーソン監督デザインのバール・ルーチェ

    イタリア・ミラノで“噂”のBar(バール)は、街の中心であるドゥオーモ広場から24番のトラムで揺られること約15分。Via Ripamonti(ヴィア・リパモンティ)で下車して、さらに徒歩で約10分……と、えらい街外れにあった。映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)や『ダージリン急行』(07)などポップでキッチュな作風で知られる映画監督ウェス・アンダーソンがデザインしたBar Luce(バール・ルーチェ)だ。

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    ピンボール・マシンもキッチュ

    元蒸留所だっただけに周囲も倉庫や工場ばかりで人通りはあまり多くない。しかし世界的ブランド、プラダ財団が手掛けたアート複合施設「プラダ財団ミラノ」に併設され、訪れたのがランチ時だったこともあり、なかはプラダ財団に勤務しているであろうオシャレなミラネーゼや、現代アートの鑑賞に訪れた流行に敏感な人たちであふれていた。昨年5月にオープンしてちょうど1年。バール・ルーチェは、すっかりプラダ財団ミラノの顔として定着したようだ。

    プラダ×アンダーソン監督のコラボは、プラダが「ファッション・デザイン・アート・シネマ・建築を融合して新たな現実を生み出す世界的なプロジェクト」(byプラダのHPより)こと、「Prada Classics(プラダ・クラシックス)」の第3弾として発表した短編映画『CASTELLO CAVALCANTI(カステロ・カヴァルカンティ)』(13)が始まり。同作は1955年のイタリアの設定で撮影もローマのチネチッタで行われたそうだが、このバールも’50~’60年代のイタリアン・ポップカルチャーや美学を取り入れている。ヴィットリオ・デ・シーカ監督『ミラノの奇蹟』(51)やルキノ・ヴィスコンティ監督『若者のすべて』(60)も参考にしたというが、両作品ともモノクロ。独特の色使いはまさにアンダーソンの世界だ。基調となっているパステルグリーンのカウンターは『CASTELLO CAVALCANTI』にも登場するカフェのバーカウンターとも一緒。同じく基調となっているパステルピンクや壁紙は、『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)を彷彿とさせ、まるでアンダーソン作品に入り込んだかのようだ。

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    プラダHPのBAR LUCEのページ

    店内の品々へのこだわりも半端じゃない。レトロなエスプレッソ・マシーンに、キャンディが入っているキュートなガラス瓶、カラフルなワインボトル。それぞれが窓から差し込む自然光で輝きを放ちながら、絶妙な配色で並んでる。片隅に置いてあるピンボール・マシンなんて、コイン投入口がユーロではなくイタリア・リラ表記だもの。一方で、壁のあちこちにはさりげなくスマホなどが充電できるUSBケーブルの差込口がある。夢と実用性を兼ねた匠の技に関心しきり。

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    USBケーブルの穴は唐突にある

    ただあくまでバールなので、食事はパニーノやブルスケッタなどの軽食のみ。アンダーソン監督は「映画の脚本を書くために、ここで時間を過ごすのもいい」と語っているが、大概の人は、ここでちゃっちゃとエスプレッソを飲んで休憩し、仕事へと戻っていくようだ。

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    エスプレッソでブレイクする人々をよそ眼にここではオリジナルカクテルをいただこう

    通常、高級ファッションブランドの店舗や関連施設のスタッフは、ルックスで採用していると思われる。アルマーニの黒ピタTシャツ&黒スラックスが似合うモデル体型のスタッフしかいないドバイの「アルマーニホテル」なんて、こちらが萎縮してしまう程だ。ところがこの店では南米系の小柄な男性に、髭面のノッポ、年季が入っていそうなバーテンダーなど個性的な面々が、自分たちのペースで働いている。そう、おかしなキャラクターたちによるシュールな笑いが特徴のアンダーソン・ワールドは、彼らスタッフも含めて成立しているのだ。この計算された演出に気づいたときには、鳥肌が立った。

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    人も含めて世界観を完成させたバール・ルーチェ

    くどいようだが不便な場所にあるし、着席料は10%と全体的に強気な値段設定ではあるが、映画好きなら行く価値あり。レム・コールハース率いるOMAが手がけた施設全体も忍者屋敷のようなドッキリがいたるところに隠されていて(特にトイレ)、探検に最適。

    この夏、ミラノへ行く予定ならショッピングとドゥオーモ見学だけで終わらせては勿体ないですゾ。

    ■プラダ財団HP http://www.fondazioneprada.org
    ■『CASTELLO CAVANCANTI』

    この記事で紹介している作品

     『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
     『ダージリン急行』
     『若者のすべて』
     『ミラノの奇蹟』
     『グランド・ブダペスト・ホテル』