愛を告白するとき、キスをするとき、あるいは夜の営みのとき…。さまざまなシチュエーションで語られる愛の言葉。映画の劇中で発せられるそれはフィクションであるため、ちょっと大げさだったり、キザだったりするかも知れません。しかし、だからこそ、いつまでも心に残り、「実際にこんなことを言われたい」「言ってみたい」と憧れるような名言の宝庫なのです。今回、いくつかの作品と俳優をピックアップし、印象深い愛の名言を紹介していきます。
1.「好きな男と、寝たい男は違うわ」…ジュリエット・ビノシュ 『溺れゆく女』(1998年・仏)
ジョニーデップと共演した、2000年公開の映画『ショコラ』の主演女優としても名高いジュリエット・ビノシュ。彼女がフランス映画『溺れゆく女』の劇中で放ったのが、上記の一言です。
性欲と愛情は別モノであることをサラリと表現できるのは、ビノシュ演じるバイオリニスト・アリスが、明確なアイデンティティをもった女性だからに他なりません。男の所有物としてなすがままにされるのではなく、自らが性に対して主導権を握っていこうとする、自立した女の賢さ・強さを感じさせます。
2.「君を愛することをやめられたらどんなにいいだろう」…ジェイク・ジレンホール 『ブロークバック・マウンテン』(2005年・米)
人を愛することは、時として苦しみを伴うものです。ましてや、未だ根強く蔑視されている同性愛を育むことなど、多くの困難があるに違いありません。『ブロークバック・マウンテン』が公開されたとき、「ゲイ・カウボーイ・ムービー」と揶揄されたことは、まさにそんな差別意識の表れだったと言えるでしょう。
劇中、ジェイク演じるジャックは、ヒース・レジャー演じるイニスに、彼と禁断の愛に落ちることの苦しみを打ち明けます。そしてその後、ジャックはゲイ差別主義者によって、虐殺されてしまうのです。たとえ、破滅に向かっていたとしても、愛さずにはいられない…。そんな人間の業の深さを表した名言です。
3.「あなたにキスするために生まれてきたの」…マリサ・トメイ 『オンリー・ユー』(1994年・米)
何とロマンチックな言葉でしょうか。発言の主、マリサ・トメイ演じるフェイスは、幼い頃に占いによって導き出された運命の人「デイモン・ブラッドリー」を未だに信じる小学校教師。しかし、そんな人物現れるはずもなく、彼女は別の男性と婚約。「人生は映画と違う…」。そう嘆くフェイスの元に、婚約者の友人から電話が。結婚式には参加できないという彼の名こそ「デイモン・ブラッドリー」だったのです。
これを運命だと信じたフェイスはすぐにイタリアへひとっ飛び。そこで出会った「デイモン」だと名乗る男の耳元に囁いたのがコレ。たった一つの口付けが偶然の産物ではなく、運命的に約束された出来事だと確信しきった一言です。
4.「どうしてそんなに上手なの?」「汚らわしい女たちと遊んだときに身につけたからさ」…マイケル・ファスベンダー&ペネロペ・クルス 『悪の法則』(2013年・米)
ご覧の通り、行為中の会話です。このあと、「あなたは私をダメにしてるのよ、分かってる?」「それが俺の願いだ」と続きます。
マイケル・ファスベンダー演じる若く有能な弁護士“カウンセラー”と、恋人役のペネロペ・クルスが絡み合う場面で展開される、こうしたやり取りは、いやらしさがありつつもどこかオシャレ。“カウンセラー”のように、ベッドの上でこれほど余裕たっぷりに振舞うなど、相当な経験値がないと無理でしょう。しかし、男としてはペネロペのようなとびきりの美女に、一度で良いから、こんなふうに囁かれたいものです。
いかがでしたか? 胸を熱くさせるこれらの名言。仮に現実世界で使ったとしたら、かなり違和感が際立ちそうです。でも、こんな発言をするような、またはされるようなドラマティックな恋愛ができたとしたら、とても素敵ですよね。
●文 ロックスター小島
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